八重歯フェチを虜にする!! 民族衣装チャドルに隠された野性『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』
#映画 #パンドラ映画館
吸血鬼映画には官能シーンが欠かせない。『ザ・ヴァンパイア』の主人公2人は禁断の恋に陥る。アラシュは少女にピアスをプレゼントするが、少女の耳はまっさらだった。少女はアラシュに安全ピンを手渡し、穴を開けるようせがむ。少女が吸血鬼であることを知らず、ドキドキしながら少女の耳にピアス穴を開けるアラシュ。安全ピンが突き刺さった瞬間、少女は初めての痛みに思わず嗚咽し、そして普段は隠している鋭い牙をほんの一瞬だけ見せてしまう。吸血少女が恥じらう姿が何とも愛らしい。八重歯フェチだけでなく、耳フェチも虜にしてしまう、とてもセクシャルなシーンとなっている。
人の生き血を吸って生きている少女が何者であるのか、本編ではいっさい明かされない。どのような生い立ちなのか、どんな経緯で吸血鬼となったのかも謎のままだ。部屋に飾られたポスターからロック好き、ポップアート好きなことが察せられるが、年齢は不詳。ただ、ドラッグの売人を襲った後、バスタブに浸かるシーンで胸があらわになり、乳房は成熟した大人の女性のものではないので、まだ若い女性らしいということぐらいしか分からない。バッドシティを所在なさげに漂う名前のない少女は、アミリプール監督自身だろう。自分のルーツに触れることなく育ったアミリプール監督は、自分は何者であるのかというアイデンティティーを確かめてみたくて、この映画を撮ったのだ。その結果、イラン映画ともハリウッド映画とも異なる、摩訶不思議なモンスター映画が誕生した。
人の生き血を吸う少女が、これからどこに向かうかは誰にも分からない。多分、少女は街や家に居場所を見つけられずにいるコドクな人間の前に姿を現わすはずだ。伝統衣装チャドルの下には、抑えがたい野性と母性が隠されている。
(文=長野辰次)
『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』
製作総指揮/イライジャ・ウッド 監督・脚本/アナ・リリ・アミリプール 出演/シェイラ・ヴァンド、アラシュ・マランディ、マーシャル・マネシュ、モジャン・マーノ、ドミニク・レインズ、ミラド・エグバリ、ロメ・シャダンルー、レザ・セィクソ・サファリ、マスーカ
配給/ギャガ・プラス 9月19日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
(c)shahre Bad Picture
http://vampire.gaga.ne.jp
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