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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 人気漫画家に聞くおっかけの生態
『バンギャルちゃんの挑戦』出版記念

おっかけは大いなる才能の無駄遣い!? “バンギャルちゃん”蟹めんまに聞く「おっかける」人たちの生態

■取材というより、「新規顧客を勧誘する会」

――本では、他ジャンルを漫画にすることに躊躇されている様子も描かれていましたが。

めんま そうですね。描きたい意欲はありつつも、数回の取材で見聞きした程度の知識で、そのジャンルのことを描いてもいいんだろうかと悩みました。ネタにされて不快に思う人も絶対いると思いますので。私の描き方が悪かったがために、ジャンル自体のイメージを悪くする可能性もあるので……。

――面白く伝えることと誤解を招くことは、紙一重なのかもしれないです。

めんま まさにそうなんです。面白おかしく描くと、少しバカにしたように見えてしまうこともあるじゃないですか。私自身が好きなビジュアル系も、外部からわりと偏ったイメージで語られがちなので、余計にそう考えるのかもしれません。

――実際に現場に足を運ばれて、いかがでしたか?

めんま ファンの方々が皆さんすごく取材に協力的だったので本当にありがたかったんですけど、皆さん漫画のネタになりそうな話より、自分の推しを紹介してくるんですよ。「お前も好きになれ」というテンションで迫ってくる(笑)。「普段おっかけ仲間とどんな話をしているの?」と聞いても、「ところで、これを見てみて」と本やらDVDやらを出して布教してくるんです。取材というより、「新規顧客を勧誘する会」的な扱いでしたね。

――ウェルカムなんですね。古参と新規のファンは、相いれないイメージもありますが……。

めんま それは、とても難しい問題ですね。そのへんのことは、文字にするとトゲが出るんですよね(苦笑)。今までずっとV系だけにハマっていたせいで、新しい世界をゼロから開拓することがなかったんですけど、今回この漫画を描くに当たっていろいろなジャンルの「新規」になったので、ご新規さんの気持ちがよくわかりました。

――新規の人は、こういうことをされたらうれしいとか、肩身狭く感じるとか。

めんま そうです。新しいジャンルに行くときって、本当に何もわからないし、緊張するんですよ。「自分の行動がマナー違反だったらどうしよう」みたいな。だから、周囲の人やネットの質問サイトとかで質問したいんですけど、「ググれ」って言われちゃうんじゃないかっていう心配もあったり。ググりたいのはやまやまなんですけど、そういうことって、意外と「暗黙の了解」的なことも多くて、どういうワードで検索したらいいのか、わからないことがありますからね。「ライブマナー」「観戦マナー」「観劇マナー」っていう言葉がどの界隈にもありますけど、そもそも娯楽に「マナー」とか「暗黙の了解」が存在するっていう概念が、過去に何かをおっかけた経験がないと思いつかないんじゃないかなと。それを「そんなの自分でググりなよ」と一言で切り捨てられちゃうと悲しいですし、そのジャンルの敷居が高く感じてしまいますよね。あと、世代のことも……。

――世代ですか?

めんま 歴史が長いジャンルだとファンの世代も幅広いんですが、新規は過去のレジェンド的なエピソードを全然知らないわけじゃないですか。古参の人に「○○の演目はすごい」とか「○○選手の、あの試合は伝説」と言われたとき「○○って誰ですか?」と尋ねると「あぁ、そういう世代?」って驚かれることが多いんです「あぁ、もう○○を知らない世代が来てるよ」「もう世代交代だね~」「俺らおっさんだわ」とか言われると、ちょっと反応に困るんですね。「聞いちゃいけないこと、聞いちゃったかな?」って萎縮しちゃう。向こうに悪気がないのは、よくわかるんですけどね。

――自虐的な方向に行かれるのはツライ……。

めんま そうなんですよ。私自身も無意識にやりがちなので、気をつけようと思いました。

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