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日刊サイゾー トップ > エンタメ > スポーツ  > 藤田伸二に見る競馬界の現実

「なぜ今年!?」 藤田伸二騎手は競馬界の“現実”に飲み込まれた

keiba0908.jpg競馬(中山競馬場)

 JRA(日本中央競馬会)所属、ダービージョッキーの藤田伸二騎手(栗東・フリー)が、6日の札幌競馬騎乗をもって引退することを発表した。JRA通算1918勝(うちGI17勝)を誇る名手の突然の引退に、競馬界は大きく揺れている。

 以前から「エージェントでリーディング騎手が決まってしまう」現在の中央競馬に不信感を抱いていた藤田。「何が面白いのか? 2、3年前から疑問を抱くようになり、競馬に対するモチベーションが無くなっていました」と引退メッセージでも語っている通り、最後までその思いは変わらなかったということだろう。

 ただ、正直に言えば「なぜ今年なのか?」という疑問を拭い去ることができない。競馬記者の間でもそれは同じのようだ。

「藤田が、特にエージェント制度や外国人騎手偏重を中心として、JRAを公然と批判した著書『騎手の一分 競馬界の真実』(講談社)を発表したのは2013年5月。その時点で競馬界への興味はほぼなくなっていると語っていました。にもかかわらず、本当の引退は約2年半後の今月。本当に競馬に興味がなくなったのであれば、とうに引退していても不思議ではないでしょう。本人にしかわからない“未練”があったのかも」(競馬記者)

 11年、ヒルノダムール(当時4歳)で藤田が「どうしても勝ちたかった」天皇賞・春(GⅠ)に勝利し、「ヒルノダムールが引退したら、俺も一緒に辞める」と発言したという情報や、GⅠ競走4勝(地方交流含む)のトランセンドについても、「トランセンドが辞める時は、俺も潮時だな」などとつぶやいたという話もあったが、2頭が現役を引退しても、藤田が身を引くことはなかった。

「調教師や厩舎スタッフに『もう辞め時かも』とグチることで同情を誘い、騎乗の営業をかけているという良からぬ噂も流れていました。強気でコワモテなイメージに反して、藤田は歴代最多19回の『フェアプレー賞』を受賞するなど、騎乗はいたってクリーン。ある意味、騎手としての“誇り”を強く持っていた男と言えます。騎手への愛着を簡単に捨てきれないのも十分に理解できる」(同)

 そして記者は、現在の競馬界の“現実”により、藤田は「引退せざるを得なかった」のではないかと考えている。

「『騎手の一分』を発売したことで、当然ですが藤田はJRAからは距離を置かれる形になってしまった。それでも13年には50勝とまずまずの成績をおさめていました。しかし、やはり顔の広いエージェントを抱える福永、岩田、川田、戸崎などリーディング上位騎手の勝鞍には遠く及びません。さらに、昨年まで『短期免許』で数カ月の滞在のみだったM・デムーロとC・ルメールというなじみ深い外国人騎手に、今年から『JRAの通年免許』が与えられ、当然のごとくリーディング上位に食い込んでいます。他の騎手が割を食うのは当然でしょう。藤田はその中の一人として、ついに“立つ瀬がなくなった”という可能性もあります」(同)

“男・藤田”として、長きにわたり中央競馬に確かなスパイスを与えてくれた藤田伸二。結局は、彼も現在の競馬界の“現実”に屈したということなのだろうか。彼の引退が、エージェントや外国人騎手礼賛の競馬界を見直す契機になるのかは、定かではない。

最終更新:2015/09/08 16:00
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