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北朝鮮、サウジアラビア、コンゴ民主共和国……独裁国家はどんな国!?『独裁国家に行ってきた』

dokokusai.jpg『独裁国家に行ってきた』(彩図社)

 独裁国家といえば、古くはナチスドイツのヒトラーや旧ソ連のスターリン、現代でいえばお隣北朝鮮の金正恩など、人を人とも思っていない冷酷非道な指導者がパッと浮かぶ。だが、そんな恐ろしい独裁者イメージがつきまとう国々に行ってみたいと思う人などそうそうおらず、実態は謎である。『独裁国家に行ってきた』(彩図社)は、そんな独裁国家の旅行記だ。著者のMASAKI氏は、旅を仕事にすべく世界各地で買い付けをするアパレルバイヤーとして稼ぎながら、なんと204カ国に訪れ、世界をあちこちと飛び回る奇跡の旅人で、治安上や宗教上の理由で入国困難な独裁国家へも、執念ともいうべき粘着力とお金をかけて訪れている。


 本書で紹介されているのは、全部で15カ国。大統領の気分次第で法律が決まるトルクメニスタン、独裁政権に終止符を打ち、新たな国づくりに湧くリビア、おなじみの北朝鮮、ハイパーインフレを起こして経済崩壊中のジンバブエ、イスラム教徒の聖地サウジアラビア、警察までもがカツアゲに勤しむベネズエラ、日本人観光客も多い超アナログ国家キューバ、ロシアとの統合を夢見るベラルーシ、勝ち組独裁国家のシンガポール、かつての資源大国ナウル、世界で最も残虐な国のひとつコンゴ共和国・コンゴ民主共和国、世界一幸せな国ブータン、復興の兆しが見えないリベリア、情勢が泥沼化するシリアと、いかにもな超危険な独裁国家から、これも独裁国家なのかと驚くほど先進的な国まで、幅広いラインナップで、とにかくすべてに読み応えがある。

 入国できるんだ、と驚かされる国もいくつもあり、事実上イスラム教徒以外は入国拒否のサウジアラビアでは、滞在に許された時間はたった48時間。酒を飲むと鞭打ち80回の刑を受ける国で、ノンアルコールのバドワイザーを飲み、非ムスリムでありながら、聖地メッカを目指し、イスラム教オンリーエリアへと突入していく。また、超危険地帯・元ベルギー領のコンゴ民主共和国では、事前にきちんとビザを取得しているにもかかわらず、入国時に賄賂目的で警察の詰所へ連行。荷物をまさぐられたり、パソコンを床に落とされ、警察官は「ここはコンゴ民主共和国だ! ポリスを尊敬しろ!」を連呼するばかり。「すべての現金を見せろ!」と言われて反抗すると激高し、集団リンチ状態へ……。そのやり方は、かつて自分の元妻を蹴って死なせたり、逆らう者は容赦なく殺してきた前モブツ大統領がやってきた独裁国家そのままの悪夢を体験。

 その一方で、規制と罰金で見事な経済成長を遂げ、何もかも整いすぎたシンガポールや、現在、鎖国状態だからこそ意外にも一般市民はいい人だらけの北朝鮮など、行ってみなければわからない独裁国家の実態も。凡人には知り得ないけれど、知るべき世界がここに!
(文=上浦未来)

●MASAKI
1981年7月29日愛知県生まれ。札幌大学卒業。旅をしながら飯を食う方法を模索して現地で買い付けたものをヤフオクで転売するなどして稼ぎ、世界204カ国を回っている旅人。海外専門ツアコン、旅行ライター、雑貨・アパレルバイヤー、モデル、旅行評論家などの活動を通して、テレビ、ラジオなどメディア出演多数。世界旅行の楽しさを多くの人に知ってもらうため、全大陸に宿の設立を計画中。

最終更新:2015/09/06 15:00
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