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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > V6イノッチはやっぱりすごかった
週刊!タレント解体新書 第32回

『24時間テレビ』舞台裏で井ノ原快彦はやっぱりすごかった NHK『あさイチ』(8月28日放送)を徹底検証!

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「DAIGOくん、見直したよ。ムチャクチャかっこよかった。みんな勇気もらったと思います。最後までありがとう!」

 井ノ原快彦はそう言って、100キロマラソンを完走したDAIGOを抱きしめた。『24時間テレビ』(日本テレビ系)では毎年のように見る場面だ。マラソンを完走したタレントにMCが言葉をかける、感動のシーン。いつもと同じ光景である。だが2015年、井ノ原快彦は、例年のMCとは少し違っていた。

 たくさんのタレントがDAIGOに一人ずつ声をかけていく。普通のMCであれば、その様子を見守るというのが当たり前だろう。だが井ノ原快彦は、ふと後ろを向く。大勢の子どもたちが「サライ」を合唱している。そして井ノ原快彦は、あろうことかカメラにお尻を向けて、「サライ」を歌う子どもたちに指揮をするのだった。とてもうれしそうな笑顔で。

 井ノ原快彦の魅力は、まさにここにこそある。確かに、DAIGOに対して感謝の気持ちを伝えるタレントの言葉は感動的だ。しかし同じ場所に、心を込めて「サライ」を歌っている子どもたちがいる。彼ら、彼女らは、舞台装置やただの背景ではなく、一人一人が生きている個人だ。井ノ原快彦はそれを知り、そして彼ら彼女らに指揮という形で、リスペクトを捧げるのだった。

 ルールや固定観念に惑わされることなく、相手を一人の個人としてちゃんと見つめる。それが井ノ原快彦の魅力である。人間力といってもよいだろう。たとえば、14年10月15日に放送された『あさイチ』(NHK総合)の「知られざる”セクハラ”」というテーマにおいて、有働由美子アナウンサーに対する思いを吐露した彼の言葉は、多くの視聴者を励ました。

「返しがうまくて面白くしてくれるからって、縁結びとかそういうネタのときに、有働さんに全部振るのも俺はどうかと思う」
「(イジられて)それをありがとう、って返しちゃう有働さんだからって、笑いが取れればいいと思っちゃいけないんだよ」
「この人(=有働アナ)が強いから言っていいとかじゃなくて、相手がどう思うかを常に考えないと。そのつもりがなくても、加害者になっちゃう」

 この井ノ原快彦の言葉は、まさにセクハラという問題そのものの本質を突いている。セクハラとは多くの場合、言葉を向ける対象を「女だから」とか「イジっていいから」とか、乱暴なくくりでカテゴライズするときに起こる現象である。井ノ原快彦は、決してそのようなカテゴライズを個人に対して行わない。セクハラという問題に限った話ではないが、井ノ原快彦はいつだって、相手を個人としてリスペクトしている。

 それは8月28日に放送された『あさイチ』でもそうだ。この日のゲストは、フィギュアスケーターの羽生結弦選手。『24時間テレビ』でも感動のパフォーマンスを見せた羽生選手だったが、この日の『あさイチ』では、ちょうどその『24時間テレビ』の観覧に行っていた視聴者からメッセージが届く。その内容は、実はそのとき、井ノ原快彦がポケットからハンカチを取り出して羽生選手に渡していた、というものだった。

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