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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 究極の社畜マンガ『ガングリオン』
じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

もしも戦隊モノに出てくる戦闘員が、サラリーマンだったら……究極の社畜マンガ『ガングリオン』

51z0kWUkvkL.jpg『ガングリオン』(著・白岩久弥、画・いつきたかし/ヨシモトブックス)

 その昔、「コミックヨシモト」というマンガ誌が出版されていたことをご存じでしょうか? ヨシモトブックスから2007年に発売され、わずか7号で休刊した「コミックヨシモト」は、その名の通り、お笑いと芸人と関西をテーマにした作品がズラリと並ぶ画期的なコンセプトの雑誌でした。レイザーラモンHGが「フォー」と叫びながら事件を解決する探偵マンガや、ハリセンボンがOLに扮してどつき合いをする4コママンガなど、なかなか面白かったんですが、完全に黒歴史としてなかったことにされております。

 そんな「コミックヨシモト」に連載されていた作品で、読者に支持され、単行本になった数少ないマンガのひとつに『ガングリオン』という作品があります。今回は、このマンガをご紹介します。

『ガングリオン』は戦隊モノや仮面ライダーなどでおなじみの悪の手下、いわゆる戦闘員たちが、実はサラリーマンだったという設定のマンガ。戦闘員の中間管理職が上司や部下との人間関係でいろいろ苦労するという、実に哀愁が漂っている作品です。

 舞台は、世界征服をもくろむ悪の組織「株式会社ガングリオン」と、正義のヒーロー「ホープマン」が所属する特殊法人「日本平和開発機構」が対立する世の中。悪の組織が株式会社になっているというのが斬新なわけですが、当然そこに所属する戦闘員「ベルベ」たちはサラリーマンということになります。つまり、全身タイツの戦闘員の皆さんには妻子がいて、給料をもらっていたりするわけです。仕事帰りはおでん屋台で1杯ひっかけたり、お父ちゃんの仕事が悪役なので、子どもがイジメられたりもするわけです。戦闘員ってのも、なかなかしんどい仕事なんですね。

 主人公は、そんなベルベ軍団の主任を務める磯辺。主任ってことは中間管理職なわけで、戦闘員の中でも一番つらい立場です。上司であるシャドー大佐(本名・影山稔)の理不尽な命令を聞きつつ、中途社員やアルバイトなどが混在するベルベ軍団を率いてホープマンと闘い、そしてお約束通りボロ負けします。

 悪の組織ガングリオンはプロジェクト単位でいろいろと悪いことをして、国民に迷惑をかけようとします。例えば……

「東京スギ花粉作戦」
「東京水没作戦」
「東京都CO2蔓延作戦」
「東京タワー切断作戦」

 みたいな感じです。作戦名だけ見るとわりとシュールですが、スギ花粉作戦なんて花粉症の人にとっては殺意が湧くのではないでしょうか? しかし、正義のヒーローホープマンに阻止され、国民は何事もなかったように日常生活を送ることができるのです。

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