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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『ど根性ガエル』第7話レビュー
構成作家・相沢直の“スナオなドラマ考”

ひろしが大人にならないことで、何を伝えているのか?『ど根性ガエル』第7話

「おい、お前、死ぬなよ。お前がいるから面白えんじゃねえかよ、この町はよ。そうだろ? 平面ガエルなんてありえねえやつが生きてるから、面白いんじゃねえか。この世界も悪くねえなって、だから思えるんじゃねえかよ。つまんねえだろ、お前がいなくなったら。だからよ、お前、死ぬな」

 ひろしが珍しく本心を語っている。これはピョン吉に対する真実の思いだ。だが同時にこのセリフは、実はピョン吉に限った話ではない。自分と違う考え方の持ち主や、自分の想像を越える存在がいるからこそこの世界は面白いのだと、ひろしのセリフはこの世界の豊潤さをこそ尊んでいる。わかりやすい存在だけだとつまらない。ありえねえやつが生きてるから面白い。それはおそらく、今の世界を生きる我々にも向けられた言葉のはずだ。

 だからこそ、ひろしは成長しない。この回のラストでひろしは言う。

「もしかして、あれか? 俺が大人になったからお前が消える、とかそういうやつか? やめろよ、お前。だったら大人になんかなんねえぞ、俺は。じじいになるまで、このまんまでいてやるぜ」

 ひろしが成長することで、ピョン吉と別れられるという選択肢を『ど根性ガエル』は排除する。その展開はわかりやすい。だが、わかりやすくない世界を、わかりやすくないものが認められる世界を、『ど根性ガエル』は支持する。それは夢物語かもしれない。それは理想的にすぎるのかもしれない。

 だがそんな世界が、どこかにあっていい。平面ガエルがいなくても、我々の世界はもっと面白いものであっていいのだ、きっと。
(文=相沢直)

●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは@aizawaaa

最終更新:2015/09/07 18:14
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