てれびのスキマが見た【日本テレビ】と【フジテレビ】──「平成テレビの完成形」と「元祖テレビの王様」の現在地
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「テレビは終わった」
などと語られる時、その「テレビ」は「フジテレビ」的なものを指すことが多いのではないでしょうか。なぜなら80年代以降、フジテレビこそがテレビの主役であり、象徴であり続けたからです。本当にテレビは、フジテレビは終わってしまったのでしょうか?
視聴率はわずか1%でも、30~40万人が見ているといわれています。インターネットをはじめ、あらゆるエンタテインメント業界で、その人数を集めるのは至難の業です。しかし、テレビにおいては、わずか視聴率1%でそれだけの人が見ている計算になるのです。その影響力は、今もとてつもなく大きいことは間違いありません。
「テレビ裏ガイド」連載100回記念企画の最終回は、フジテレビと日本テレビについて見ていきたいと思います。
82年から12年間にわたり民放の中で「視聴率三冠王」に君臨したフジテレビ。だが今、フジテレビはテレビ凋落の象徴のように見られている。実際、視聴率では日本テレビに大きく水をあけられているどころか、2位の座も明け渡してしまった。
そもそも、視聴率をこんなにも一般的に注目されるものにしたのはフジテレビ自身だった。「視聴率三冠王」を名乗り、自分たちの威光を大々的にプロモーションしたからだ。それまで、三冠王なんて概念はなかったし(もちろん数値上は存在していたが)、一部の看板枠(土曜夜8時など)の視聴率の動向が注目されることはあったが、個別の番組の視聴率なんて一般の視聴者は気にしていなかった。いわば、現在のフジテレビの首を絞めているのは過去のフジテレビなのだ。
今年の『27時間テレビ』は「テレビの時代はもう終わり?…でも俺、本気出しちゃいます」というコピーで「本気」をテーマに行われた。ナインティナインが総合司会を務め、同局の看板番組のひとつである『めちゃ×2イケてるッ!』がベース。場面場面を見れば、見どころのあるシーンは多々あったものの、正直言って、全体を通してみると、その「本気」が空回りしていたり、肩透かしにあった部分のほうが目立っていた。
そのエンディングが行われている時間帯に、日本テレビでは『世界の果てまでイッテQ!』の看板企画のひとつ、イモトアヤコを中心とした「登山部」による「マッキンリー登頂プロジェクト」が放送されていた。もともとの苛酷さに加え、登山は自分たちの力ではどうしようもない天候という障害もある。どんなに「本気」であろうと、ゴールが約束されていない残酷な旅だ。そんな過酷な状況でも、『イッテQ』ではあくまでも「笑い」をベースにした編集で、その偉業を伝えていた。まさに、日テレ式のドキュメントバラエティの最高峰と呼ぶにふさわしいものだった。
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