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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > テレビ局にとっての“らしさ”とは
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第100回記念 特別寄稿1

てれびのスキマが見た【NHK】と【テレビ東京】──テレビ局にとっての“らしさ”とは?

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 2012年6月から始まったこの連載「テレビ裏ガイド」。「面白いテレビ番組を真正面から面白いと紹介する」というコンセプトで毎月2~3本のペースで更新し続け、今回でなんと100回目を迎えます!

 面白いテレビ番組だけを取り上げているので、よく直接お会いした人から訊かれることがあります。「ネタは尽きないですか?」と。けれど、3年あまり連載してきて、一度もネタで困ったことはありません。もちろん、自分の書き手としての能力的な問題で、この面白さをどう文章で伝えられるのかと、書くのに困ってしまうことは多々ありますが、取り上げる候補が何も思い浮かばないということはこれまで皆無でした。それだけ「テレビは今も面白い!」と、胸を張って言うことができます。

 昨今はテレビがつまらなくなったなどといわれますが、僕の実感はまったく異なります。むしろ、2014年以降のテレビは、ここ十数年の間で最も面白いと言っても過言ではありません。

 そこで、100回記念企画として、今回から3回に分けて、民放キー局5局とNHKの各局についての現状を私感たっぷりに語っていきたいと思います。

***

 現在最も元気なのは、NHKとテレビ東京だろう。ともにテレビ局としては、ある意味で異端だ。NHKは公共放送であり、スポンサーを獲得する必要がないため視聴率に縛られることはない。一方、テレビ東京は、キー局としては最後発であり、視聴率最下位は当たり前という状況だった。だから、最低限の視聴率獲得目標基準が各局よりもはるかに低いといわれている。過剰に視聴率にとらわれていない両局が好調なのは、皮肉な話であるのと同時に、そこに何かヒントが隠されているのではないか。

 ここでキーワードになるのは、「らしさ」だ。いわゆる「NHKらしさ」「テレ東らしさ」である。例えば、テレ東の人気番組『Youは何しに日本へ?』。

 この番組は、空港を訪れた外国人(=You)にタイトル通り「Youは何しに日本へ?」と尋ね、その答えが面白い人に密着するという番組である。低予算ゆえ、大物芸能人をそろえることができないという弱点を補うため、テレ東は「素人」参加番組を数多く手がけてきた。また、タイアップがつきやすいという理由もあってか、旅番組も多い。そんな得意分野を組み合わせた、実に「テレ東らしさ」全開の番組だ。この番組の成功で、『家、ついて行ってイイですか?』や『逆向き列車』など派生番組も生まれ、素人密着ドキュメントバラエティとでも呼べる新たなジャンルを確立したといえるだろう。

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