「書き出しはいいが、読後感はイマイチ……」元名物編集長が又吉直樹『火花』を斬る!
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
文春が韓国の元慰安婦の実名告白を掲載している。読んでみたら、失礼ながら“真っ当”な記事である。この李容沫さんは、これまでもメディアに出て日本政府を批判してきたが、ここへきて身内である韓国の支援団体や韓国政府を批判していると、勇躍、文春の記者は韓国・大邱市の郊外に飛んだ。
彼女の言い分は、戦後日本からの経済援助で経済発展してきた韓国政府が、慰安婦問題を解決するために日本とちゃんと話し合って、積極的にやってほしいというのである。
「ハルモニたちが生きているうちに、両国政府がきちんと話し合って、早く平和的に解決しないとダメなのです」(李さん)
その通りである。この中で、彼女は数えで16歳のある夜、日本の軍服を着た男女に拉致され、大連に連れて行かれて暴行された後、台湾の新竹の慰安所で働かされたと話している。これが「軍の強制」でなくてなんと言おう。
安倍首相が本当に日韓関係をなんとかしたいのなら、慰安婦問題について朴槿恵大統領とすぐに会うべきである。
先日、ピン芸人・松本ヒロ(元「ザ・ニュースペーパー」。1998年11月から独立)の舞台を見に行った。立川談志さんにかわいがられ、いまは反安倍政権の旗手として引っ張りだこである。
そこで、森喜朗元総理の有名な「恥ずかしい英語力」のコントをやり、バカ受けしていた。総理時代、森がクリントン大統領(当時)に会いに行ったとき、「How are you?」というべきところを「Who are you?」といってしまった。驚いたのはクリントン。だが、とっさのユーモアで「I’m Hillary’s husband」と答えたら、森は「Me too」。これには、クリントンも怒り狂った。
森氏は、このエピソードはねつ造だと言っているようだ。だが、現役時代は「ノミの心臓、サメの脳みそ」と揶揄され、いまは永田町の「老害」といわれる森氏のことだからありえると、皆が思うのは彼の「不徳」のいたすところであろう。
この“困った老害チャン”が、再び「新国立競技場問題」でクローズアップされている。
当初、1,300億円程度と考えられていた新国立建設費が2,500億円以上にまで膨らんだのは、森氏が強引に東京五輪の前年に開催されるラグビーW杯を新国立で行うよう推し進めたためだと“戦犯”扱いされているのである。
新潮は、安保法案の強行採決で「内閣支持率が滝のように落ち込んでいる」(新潮)安倍首相が危機感を持ち、新国立建設計画をすべて白紙に戻すことを発表したが、森氏を説得する会談では、ひたすら懇願するばかりだったと報じている。
「この場では安倍総理と森氏が約30分、下村氏(文科相=筆者注)と遠藤氏(五輪担当相=筆者注)を交えてさらに1時間の話し合いが持たれました。安倍総理はA4のメモを示すと、ひたすら“申し訳ない”と謝るばかりだったそうです」(首相官邸関係者)
安倍の祖父・岸信介を尊敬しているという森氏は、計画見直しをひたすら“お願いする”安倍の言い分を飲まざるを得なかったのだろう。
会談後、森氏はテレビに出演して「生カキがドロッとたれたみたいで、僕はもともとあのスタイルは嫌でした。見直しはしたほうがいい」と言い出しているが、本心ではないだろう。
安倍首相は1,600億円程度に建設費を圧縮すると言っているが、そうは問屋が卸しそうにない。
着工前段階のデザインや設計などの契約が計約59億円に上ることが明らかになったほか、新デザイン選定や工期の短縮などで、またぞろ当初予算がどんどん膨らんでいくことが予想される。
新潮よれば、この奇っ怪なデザインをしたザハ・ハディド女史に対して、事前になんの連絡もしていなかったという。ザハ女史にはすでに約13億円が支払われているが、今回のことで彼女の評判が落ちる可能性があり、そうなれば彼女が「建築家としての名誉を著しく傷つけられた」として慰謝料請求してきてもおかしくないと、東京電機大学の今川憲英教授が言っている。そうなれば、慰謝料だけで最大100億円ということもあり得るというのである。
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