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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 元名物編集長が又吉『火花』を斬る
週刊誌スクープ大賞

「書き出しはいいが、読後感はイマイチ……」元名物編集長が又吉直樹『火花』を斬る!

 ところで、腰痛で悩んでいる人は多いだろう。実に2,800万人もの人が苦しんでいるとポストは書いている。

 先日の『NHKスペシャル』で、腰痛を扱ったものが評判だという。腰痛のメカニズムを知ればたちどころに痛みが消えるというのだが、本当か。

 メリーランド大学助教授のデイヴィッド・セミノウィッツ博士に話を聞いたところ、こう説明してくれたという。

「脳内にあるDLPFC(背外側前頭前野)と呼ばれる人間の判断や意欲などを司っている部分は、脳内で作られた『痛い』というシグナルを鎮める役割を果たします。慢性腰痛を抱える患者の脳は、この部分の体積が減っていた(小さくなっていた)のです。これによって脳の構造の変化と痛みが関係していることがわかりました」

 そのため、いたって手軽な運動で45%の人の痛みが改善するというのだ。お尻に両手を当てて息を吐きながら背中をゆっくり反らす。この姿勢で3秒間。ひざはできるだけ伸ばす。これだけの体操を一日数回やるだけで、ギックリ腰がなくなり、腰の痛みもなくなるというのだ。私もこれからやってみよう。

 このところ週刊誌は軒並み「夏枯れ」だから、私好みのアサ芸「菱の侠(おとこ)たちが『短歌・俳句』に込めた意地と哀愁」を取り上げてみる。

 司忍山口組六代目の肝いりで創刊された山口組の機関誌(いわば社内報)『山口組新報』に掲載された、傘下組員からの投稿による俳句や短歌を紹介している。

「厳寒に 堪えて芽を出す 蕗の薹」
「我が道を 行けよと燃ゆる 吾亦紅」

 警察の包囲網が狭まる中、組員たちの苦悩が出ていてジンとくる?

「刻まれし 墓石に思う 烈人の 春に吹かれし 一筋の道」
「秋晴れに 真っ直ぐ咲いた彼岸花 我生き様も かくありたけり」

 次の句は刑務所に入っている仲間を思って詠んだものだという。

「彼の為に 残したるかの 柿ひとつ」

 先の又吉直樹が俳人・堀本裕樹に俳句について教えを請う『芸人と俳人』(集英社)がおもしろい。いくつか又吉の句も載っているが、この人の感性のよさを窺わせる。

「銀杏をポッケに入れた報い」
「激情や 栞の如き 夜這星」
「夏の蝶はははと笑い飛びにけり」

 ところで、評論家で哲学者の鶴見俊輔さんが亡くなった。93歳だった。母方の祖父は政治家の後藤新平。1938年に渡米してハーバード大学哲学科に入学したが、日米開戦後の42年3月に無政府主義者の容疑で逮捕され、戦時交換船で帰国した。

 戦後、丸山真男らと『思想の科学』を創刊。60年5月、新日米安全保障条約強行採決に抗議して東京工大を辞職し、翌年、同志社大教授となる。

 大学紛争下の70年に辞職。作家の小田実らと米国のベトナム戦争に反対する「ベ平連」(ベトナムに平和を!市民連合)運動を展開した。

 私の周りには、鶴見さんに私淑する友人が多くいる。亡くなった中川六平、アメリカ国籍を取って向こうに住んでいる室謙二。六平さんは鶴見さんの「言葉」をまとめる本を書いている途中で死んでしまった。室さんは、鶴見さんのビデオをいくつも持っているはずだ。

 2人とも「ベ平連」つながりである。今のような息苦しい時代にこそ、鶴見さんのような人が必要なのに、次々に世を去って行く。残されたわれわれでできることをやらなければ、あの世で鶴見さんたちに顔向けができない。

 このところ「人を殺してみたい」というだけで、なんの関係もない人間を殺す犯罪が増えている。少年A症候群とでもいうのだろうか。

 愛知県日進市で65歳の男性を背後からナイフで刺して殺した17歳の県立高校3年のケースもそうだ。新潮によれば「身を守ろうとしたときにできる“防御創”がほとんどない。だから、抵抗する間もなく殺害されたと捜査関係者はみています」(全国紙社会部デスク)。

 犯行の後、6,000円の入ったショルダーバックを奪い、近くの公園で返り血を浴びた身体やシャツを洗い流したそうだ。

 憎しみもない行きずりの人間を、こうも残酷に殺せるものなのか。この少年の両親は幼い頃に離婚し、おじいちゃんとおばあちゃんに引き取られたが、大事に育てられたそうだ。

 学校では普通の生徒だったが、ネットでサバイバルナイフを購入し、人の殺し方に興味があると同級生に話していたという。

 何がきっかけで、そうしたものに興味を覚えたのかはわからない。少年は人を殺してから捕まるまで、いつもと変わらず学校へ行っていたそうだ。

 良心の呵責もなしに衝動的に人を殺す子どもたちの増加は、この国の将来への不安を示す予兆の一つなのかもしれない。

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