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日刊サイゾー トップ > 海外  > 世界一の“性都”東莞の狂乱

「100%客の要求に応える」世界一の“性都”東莞の狂乱と中国の歪み『中国 狂乱の「歓楽街」』

 
 だが、その栄華はある日突然終わりを迎えた。この街の風俗の実態を暴くドキュメンタリ番組が中国中央電視台(CCTV)によって放送されるや否や、公安当局は6,000人以上の警察官を動員する前代未聞の摘発に乗り出したのだ。世界一といわれる歓楽街も、この動きに対抗することができず、東莞の風俗産業は壊滅。GDPに対する貢献度のうち、20%を占めていたといわれる性風俗産業の火はあっけなく消えてしまった。

 摘発後、東莞の街は、死んだように静まり返り、売春の舞台として使用されていた5ツ星高級ホテルでも閑古鳥が鳴くありさまに。東莞を追われた100万人の売春婦たちは、中国の各都市へと散り散りになっていった。しかし、摘発から数カ月もすると、彼女たちは再び東莞に戻りつつあるという。他の都市では売春に対する視線はとても厳しく、売春婦を狙った殺人事件も横行している。東莞という街は、買春をする男性にとってばかりでなく、売春婦にとってもまた居心地のいい場所だったのだ。

 中国国内では、東莞摘発の発端となったCCTVに対してこんな非難の声が上げられているという。

「なぜこんな弱い者いじめをするのか。メディアはもっと大きな悪を追求すべきじゃないのか」

 この摘発が、たびたび「強権政治」と評される習近平政権の意向が反映されたものであることは想像に難くない。中国は、売春に対してこのまま規制の動きを強めるのか? それとも、必要悪と認め、黙認せざるを得なくなるのだろうか? どんなに規制が強化されようとも、世界最古の商売といわれる売春がなくならないことは、洋の東西でさまざまな国の歴史が証明している。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

最終更新:2016/01/27 17:49
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