『Mr.タスク』で元天才子役がセイウチ人間と対決? 性格俳優としての大いなる変身ぶり、どーですか!
#映画 #インタビュー
──最後の質問です。ちょっと恥ずかしいんですが、今でも『ペイフォワード』を見直すと泣けてくるんです。あなたが演じた少年は「世界はクソだ!」と叫びますよね。27歳になったあなたの目には、この世界はどんな風に映っているんでしょうか?
オスメント 僕の出演した作品を何度も観てくれて、うれしいよ。確かにあの作品で僕は「世界はクソだ」と言っていたね(笑)。まぁ、あの少年は母親がアルコール依存症で、父親が無職でDV人間という悲惨な家庭で育ったこともあって、世界の嫌な部分を見て、そう叫ばずにはいられなかったんだ。でも、世界はもっと多様で、複雑で、「クソ」というひと言では簡単に言い表せないものだと今の僕は思っているよ。それに『ペイフォワード』はどんなに悲惨な状況にあっても、素晴しいことを考えることは可能だってことを示した作品なんじゃないかな。子どもの頃は親が守ってくれ、嫌なものが目に触れないように遮ってくれていたわけだけど、独立して家を出ると、否応なく嫌なものに出くわすことになる。子どもの頃に感じていた以上に、「現実の世界はもっとクソだ」と思うことは多いはずだよ。でも、世界のすべてがサイアクってわけじゃない。想像以上にヒドい出来事はたくさんあるけど、それを乗り越えて、その先にある楽しいこと、面白いことを自分の目で見つけることが大事なんじゃないかな。
──なるほどー。それが大人になるってことなんですね。
オスメント うん、できればそうありたいよね。今日は楽しいインタビューだったよ。また取材してもらうことを心待ちにしているよ!
(取材・文=長野辰次/インタビュー撮影=後藤秀二)
●ハーレイ・ジョエル・オスメント
1988年米国カリフォルニア州生まれ。『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)のガンプJr.役で映画デビュー。M・ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』(99)、スティーブン・スピルバーグ監督の『A.I.』(01)でアカデミー賞助演男優賞に2度ノミネート。舞台俳優だった父親の指導もあり、天才子役として絶大な人気を博した。『ペイフォワード 可能の王国』(00)ではケヴィン・スペイシー、ヘレン・ハントら実力派俳優たちと共演。2015年6月、『Mr.タスク』のプロモーションのため、『ウォルター少年と、夏の休日』(03)の公開以来となる11年ぶりの来日を果たした。コメディ主演作『SEXエド チェリー先生の白熱性教育』(14)は「カリコレ2015/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015」で上映。ケヴィン・スミス監督作には『Mr.タスク』に続いて、『Yoga Hosers(原題)』でもジャスティン・ロング、ジョニー・デップ、ジョニー・デップの愛娘リリー=ローズ・メロディ・デップらと共演。1990年代のカナダに実在したファシスト、エイドリアン・アルカンを演じている。性格俳優として、これからますます磨きがかかりそうだ。
『Mr.タスク』
監督・脚本/ケヴィン・スミス 出演/ジャスティン・ロング、マイケル・パークス、ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジェネシス・ロドリゲス 配給/武蔵野エンタテイメント PG12 7月18日(土)より新宿シネマカリテ、渋谷シネクイント(レイト)ほかにて公開
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