『孤独のグルメ』の原作コンビが描く、究極散歩マンガ『散歩もの』
#マンガ #コミック #ザオリク的マンガ読み
「傾斜した道は使いにくい」
「だから工夫しなきゃならない」
「そういうのが街の味になってるんだな」
坂道文化を語り続けます。もはや、オッサンが散歩の最中に発する単なる独り言とは思えないほどのクオリティ。散歩の天才と呼ばれるには、このぐらいの域に達していなければならないようです。そういえばタモリさんも「日本坂道学会」なるものを設立しているぐらいですし、坂道にはどこか人を惹きつけてやまない魅力があるのかもしれません。
続いて、東京・吉祥寺の路地裏「ハーモニカ横丁」の日本一狭いカレー屋での一幕。路地裏文化に興味を示す若者カップルとの会話で、たいそうご機嫌な上野原です。
「吉祥寺の良心ですよ」
吉祥寺の良心……こういうクサいセリフは、相当吉祥寺ラブでないと言えないセリフです。しかし、若者たちがハーモニカ横丁のガイドブックを作りたいなどという発言をした途端、説教モードに。
「こういう路地はガイドなんかに頼らないでただ歩くのが楽しいんじゃない?」
独自の路地論を展開。ガイドに頼るのは散歩じゃないんだ、邪道だ、と。とにかく路地は自力で散策するのが粋なのだと力説します。まさに、散歩原理主義ならではですね。
「ちょっと不安なぐらいがいいんじゃない? 歩けば必ず面白い店やものが発見できる、そんな路地ですよ」
若者は完全にキョトン顔です。言いたいことはわかりますが、ここまでいくと老害……いやいや、日本の明日を担う若者たちに散歩の本当の楽しさを伝えたい一心での発言ですよね。わかります。この若者も今後はきっと改心して、ガイドなど持たずに路地裏を徘徊することでしょう。
というわけで、かつてないほどに硬派な散歩論が展開される究極の散歩マンガ『散歩もの』。いかがだったでしょうか? たまに散歩する程度の人からディープな坂道マニアの人まで、散歩をする人にはぜひ一度手に取って読んでいただきたい、そんな奥深い作品です。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)
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