トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 窪田正孝版『デスノ』の見どころ
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第97回

こんなの夜神月じゃない!? 窪田正孝がつくる『デスノート』の新世界

 だが、窪田の最大の魅力は、なんといってもその繊細さ。繊細さゆえに、狂気をもはらんでしまう若者を演じさせたら、右に出るものはいない。透明感と底知れぬ闇を同時に表現できる、稀有な若手俳優なのだ。それはまさに、今回のドラマ版・夜神月像にぴったり合致する。

 「デスノート」で人を殺し罪の意識に苛まれ悩み狂う姿、死神リュークに怯え慌てる姿、「L」の挑発に簡単に乗ってしまう浅はかな姿、そして「ノート」の力を得て“覚醒”し、歪んだ正義感を振りかざし始める狂気の姿……。『デスノート』という荒唐無稽な世界観の中で、そんな月をリアリティを持って演じられる俳優はなかなかいない。だから今回の新しい夜神月役は、窪田でなくてはならなかったのだ。

 実際に窪田は、平凡な大学生が、「デスノート」を手にし、悩みながらも狂気の殺人者に変わっていく姿を見事な説得力で表現していた。最初から「天才」だった原作にはない、ドラマ版ならではの月の魅力がそこには確かにあった。人気漫画が原作のドラマ化だからといって、原作に忠実なだけが正義ではない。そこにいかに新たな魅力を加え、ドラマ化する意義を見いだせるかが重要なのだ。もちろん、この挑戦が成功するとは限らない。それは今後、いかに新たなキャラクター像と原作の魅力を融合させていくかが重要になっていくだろう。

 ドラマ版『デスノート』で窪田は、“新世界”の夜神月をつくり出そうとしているのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:47
123
ページ上部へ戻る

配給映画