『アベンジャーズ』はスーパーヒーローじゃない? 配給会社が発した“NGワード”をめぐる小さな波紋
#映画 #マスコミ
キラーコンテンツを持つ強者には逆らえないということらしい。だが、このままでは、『──エイジ・オブ・ウルトロン』はディズニーへの忠誠心を試される“踏み絵”になってしまいかねない。正義と愛を守るために戦うスーパーヒーローたちが業界内の踏み絵扱いになるのは、あまりにも悲しい。各媒体がいろんな視点から、それぞれ工夫を凝らして、個性的な誌面をつくることが、映画の面白さ、豊かさをより多くの人たちに伝えることになる──。そんな考えは世界的な大企業ディズニーには通じないのか? ひとりの映画ライターが前出の編集者たちとは異なる見解を語ってくれた。
「まったく同じものではありませんが、近い内容のプレスリリースは自分も見ました。アメコミ売り、続編売りはするなと書いてありました。とはいっても、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』はアメコミ映画であり、シリーズものであることは事実ですからね。事実は変えようがない(笑)。あくまでも宣伝側からの要望ということで、受け止めています。映画をどのように感じ、どんな記事にするかは、媒体次第、書き手次第ですよ。まぁ、『—エイジ・オブ・ウルトロン』は世界各国で興収1位になっているので、日本の宣伝スタッフはかなりプレッシャーを感じているようです。でも、作品の面白さをきちんと伝えるのが自分たちの役割ですから、そこまでは配給・宣伝側は介入できないはずです」(映画ライター)
リリースに記されたNGワードなどに反した場合、配給側は何らかのペナルティーを考えているのだろうか。ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンのマーケティング・PR担当者に電話で尋ねてみた。
「ペナルティーという言葉は語弊があるかと思いますし、またNGワードを使ったとしても、ディズニー作品が二度と扱えないというようなことは考えておりません。ご紹介の際はこういう紹介の仕方をお願いします、といった程度のものです。リリースを出したのは宣伝会社なので、そちらに問い合わせてください」
ディズニーの意向をもとにプレスリリースを作成し、媒体に送った宣伝会社の回答は以下の通りだ。
「宣伝側の戦略として、ファンの間口を狭めたくないという考えから、アメコミやスーパーヒーローという言葉をNGワードと記しましたが、あくまでも媒体のみなさんにお願いするというスタンスのものです。ペナルティーが生じるようなことはありません。NGワードという強い言葉を使ったのは、宣伝スタッフもそのくらい強い意気込みでやっているということで理解してほしい。雑誌編集の方たちに対して、もっと配慮した対応や適切な言い回しがあったのではないかと申し訳なく思います。今後はいきなりメール送信するなどはせず、事前に口頭でお願いをするなど改善していきたいと思います」
さて、これで『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に関する問題はすっきり解決したのか。それとも、NGワードに代わる新しい用語が今後は登場することになるのだろうか。
(取材・文=編集部)
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