シングルマザー、占い師、女装家……テレ東『家、ついて行ってイイですか?』で描かれる人生劇場
#テレビ #バラエティ #テレビ東京 #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ
今回の放送で特に印象的だったのは、田舎の漁村に暮らす77歳のおばあちゃんだ。今回から始まった新企画「移動スーパーで買ったものの代金をお支払いするので、家について行ってイイですか?」で出会った人だ。カメラで向けられると、彼女はとにかく明るい。自分が買ったものを説明しながら「アハハハ!」と豪快に笑う。周りの人からも「(静岡県)賀茂村のスターだよ」などと言われる、村の人気者のようだ。最初は「ヤダよ!」なんて断っていたが、すぐに「あんまり長いとダメよ」などと言いつつ、密着を承諾した。
聞けば、十数年前に夫をがんで亡くし、娘も嫁いだため一人暮らしだという。音楽好きの夫が生前に買ったピアノを練習するのが、今の生きがいだと笑う。カレンダーに書かれた「カメ」の文字は、スーパーの特売日という意味だとか、20年以上使っている扇風機だとか、もう使っていないマッサージチェアーだとか、“生活感”がにじみ出ているものをカメラは画面に収めていく。そのたびに、快活にそれらを説明していくおばあちゃん。その解説の至るとこに、亡き夫への愛情がにじみ出ている。
その夫の遺影の隣には、幼い子どもの遺影が並べられている。
「亡くなったんですよ、小学校1年生のときに。2階から落ちて。私の不注意で」
自宅の2階で遊んでいる最中、ほんの少し目を離した隙に、誤って窓から転落してしまったのだという。その時から、彼女は重い十字架を背負ってしまったのだ。
「あんないい子だったのにねぇって……。生きた心地しなかったです、私。お父さんにも申し訳なくてね。そういう思い出があって……」
普段の明るい振る舞いからは、とても想像のつかない人間ドラマ。その人生をのぞくようなVTRに、心の奥底をかきむしられる。
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