BiSHの現場が動物化!? 熱狂と波乱のギュウゾウ主催フェスを徹底レポート
#リアルサウンド
7番目はゆるめるモ!。本来は6人組だが、現在ライブに登場しているのは、けちょん、しふぉん、ようなぴ、あのの4人だ。ビースティ・ボーイズへのオマージュである「Majiwaranai Cats」では、最近のヴォイストレーニングの成果を感じさせる。「虎よ」ではしふぉんが煽り、あのはフロアへとダイヴ。MCでは、けちょんが栃木県出身であることがカミングアウトされた。なお、あのはアフリカ大陸出身ともパプアニューギニア出身とも言っていたが、わりと距離が離れている気がしなくもない。
「たびのしたく」は、ポップ・グループとアニマル・コレクティヴを混ぜたというスケールの大きなサウンドだ。一時期は8人がステージにいたゆるめるモ!だが、4人でもこのスケールを表現できたことには少なからず驚いた。この日のライブで、4人がそれぞれの力を出しきっていたのは間違いない。
「なつ おん ぶるー」ではゆるヲタ(ゆるめるモ!ファンの総称)が激しいジャンプをしはじめた。さまざまなメンバー変遷を経てきたゆるめるモ!が、「なつ おん ぶるー」のような陽性の楽曲を歌う姿には、赤坂BLITZでのワンマンライブ(2015年5月2日)でも感動したものだ。この日は、プロデューサーの田家大知がビニールボートを持ちこむと、それにメンバーが乗船してフロアを航行。クラウドサーフしながらそれに群がるヲタたちは、さながら餓鬼道に落ちた餓鬼のようで、まさに天国と地獄が同居するかのような光景であった。最後の「逃げろ!!」は、ゆるめるモ!というグループの思想的な根幹を体現する楽曲であり、それを4人で歌いきる姿に再び感動した。落ちサビを歌ったしふぉんは、そのままフロアにダイヴして、ファンに支えられながら歌い続けていた。
大トリである8番目に登場したのは妄想キャリブレーション。でんぱ組.incも輩出した秋葉原ディアステージから生まれた6人組だ。「いつだって世界にファイティングポーズ」では、この日もっとも激しいMIXが会場に響いた。ヲタが一斉にジャンプする瞬間も圧巻で、ジャンプは禁止事項だった気がするが、もうここまで来たらどうでもいい。「たとえもう一人の私を見ても…」では、ジャンプがもはや「ドゴッ」という感触で響いていた。さらに「人生はいじわるなの…かな?」では、フロアの前方で豪快なサークルモッシュが展開され、逆回転までしていた。その光景を見た瞬間、同じ会場で6月28日に開催される予定の『ギュウ農フェスvol.3 羽田空港アイドルフライトだっぺ!』の中止すら覚悟したものだ。
この日も、妄想キャリブレーションのライブを常に見ているサウンド・プロデューサーの利根川貴之の姿があった。彼によって対バンライブに必要な楽曲が隙なく用意されおり、妄想キャリブレーションは大トリにふさわしいステージを見せた。
最後の挨拶に登場したギュウゾウは「次回ここでできるか怪しい状況」と言っていたが、終演後に話を聞いたところ、本当にギュウゾウとスタッフはたんまり怒られたそうで、憔悴を隠せないスタッフすらいた。
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