人気俳優もスタッフもみんなリストラの対象に!? 映画界の今後を大胆予測『コングレス未来学会議』
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原作小説では宇宙飛行士だった主人公ヨンが映画女優のロビンになるなど、大きく脚色されている本作。フォルマン監督はこう語っている。
「僕の基本的な考えは、古典を翻訳するなら、原作に囚われることなく、自由になる勇気を持つ必要があるということ。原作にはない新しい次元を見つけたいし、原作では共産主義体制の時代が寓意化されているところがあるけど、そこは現代の生活に見合うように改変しなくちゃいけない。そう考えながら脚本を書いているうちに、原作に書かれた化学薬品による独裁体制は、エンターテメント業界、とくに巨大スタジオが牛耳る映画産業における独裁体制に変わっていったんだ」
幻覚作用によって生み出されたアニメーションの世界で、ロビンは意識を失い、さらに20年の歳月が流れる。浦島太郎状態となったロビンの目には、アニメーション化がさらに進み、実態を失った異様な世界が映っていた。そこは誰もが老いの悩みからも身体的な不自由さや外見的コンプレックスからも解放された極楽浄土だった。見た目は美しいが、中身は空っぽな寒々しい世界だった。でも、それは元々はロビンが息子アーロンの病気を心配して、自分の肖像権を売り渡したことから始まった世界だった。凧揚げが大好きだったアーロンは、今どうしているのか。年老いたロビンは鳥に姿を変え、空をさまよいながら息子の姿を探す。ロビン・ライトが歌う「フォーエバーヤング」が流れる。君がいつまでも若く、そのままでいますように。ボブ・ディランが歌った名曲が、アニメーション化されたカラフルな世界に逆説的に響き渡る。物語の終わりに、ロビンはどんなにデジタル化が進んでも変わらないものを見つける。
(文=長野辰次)
『コングレス未来学会議』
原作/スタニスクフ・レム『泰平ヨンの未来会議』 監督/アリ・フォルマン 出演/ロビン・ライト、ハーヴェイ・カイテル、ジョン・ハム、ポール・ジアマッティ、コディ・スミット=マクフィー
6月20日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
(C)2013 Bridgit Folman Film Gang, Pandora Film, Entre Chien et Loup, Paul Thiltges Distributions, Opus Film, ARP
http://www.thecongress-movie.jp/
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