人気俳優もスタッフもみんなリストラの対象に!? 映画界の今後を大胆予測『コングレス未来学会議』
#映画 #パンドラ映画館
男選びに失敗し、わがままで撮影をドタキャンした過去を今さらマネージャーのアルから蒸し返されるライト。でも、子どもたちの将来を考えたら、まだまだお金は必要だし、人生経験を積んだ分、もっといい演技ができる自信がある。40歳を過ぎた今でも、充分若々しく映るはずだ。焦るロビンに、ハリウッドから最後の契約が舞い込む。それは、これまで以上に高額の契約料だった。ただし、これは1本の映画への出演料ではなく、ロビンの全身をスキャンしてCGキャラクター化するという内容のものだった。肖像権を丸々映画会社に売り渡すことになる。『マトリックス』(99)のキアヌ・リーブスはすでに契約済みらしい。映画会社のCEOであるジェフ(ダニー・ヒューストン)は躊躇するロビンをこう諭す。「これからは嫌な男優とのキスシーンやベッドシーンにもう悩まなくていい。余った時間は自分が好きなように過ごせばいいんだ」と。息子アーロン(コディ・スミット=マクフィー)が難病を患っていることから、ロビンは渋々ながらこの契約書にサインする。息子の心配もあったが、いつまでも年をとらない若々しい自分の姿がスクリーンで輝き続けるという誘惑に、女優であり、ひとりの女であるロビンは抗えなかったのだ。
全身をスキャンしてもらうためにロビンが撮影スタジオを訪ねると、かつての映画業界ならではの賑やかさはすっかり消えていた。静寂さがスタジオを支配し、人の気配がまるでしない。これからの映画製作に必要なのはコンピューターを操作するオペレーターだけで、個性的な才能や職人的技術を誇ったスタッフのほとんどはお払い箱になっていた。俳優たちもこのCGキャラクター化の波に乗りそびれれば、淘汰されていくだろう。3Dスキャン用のブースでロビンは精一杯笑ってみせるが、その笑顔にはどこかもの哀しさが感じられた。
この後、物語は20年が経過し、ロビンがCGキャラクターの契約を延長するかどうかの決断を映画会社に伝えるべく、映画会社が指定したホテルへと向かうシークエンスへと一気に飛ぶ。ここから先は、ロビンにとっても我々観客にとっても驚愕の映像世界が待ち受けている。ロビンが向かったホテルのあるアブラハマシティは“アニメ専用地域”となっており、街全体がアニメーション化され、その街で暮らす人たちはみんな自分が好きなアニメキャラクターとなって過ごしていたのだ。ロビンも受付で薬を渡され、薬がもたらす幻覚効果によってアニメキャラクターへと変身する。映画会社は映画を製作・配給するものづくりの会社から、人々に現実世界を忘れさせる映像的快楽を提供する製薬会社へと変貌を遂げていたのだ。愕然とするロビンの身の上に、さらに予期せぬ出来事が次々と降り掛かることになる。
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