「こんなモノいらない!?」“予算2,500億円”新国立競技場キテレツデザインの迷走っぷり
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
ダイエットブームである。次から次へと怪しげなのが出てくる。少し前にはやったのに「ビリーズブートキャンプ」というのがあった。だが、あれほどハードなダンスや運動をすれば誰だって痩せたりムキムキマンになるのは当たり前だと思うのだが、熱に浮かされている人たちはそれに気がつかなかったようだ。
新潮は、テレビCMを1カ月に558本も打っている「ライザップ」というトレーニングジムを取り上げ、このままでは「客とスタッフが危ない!」と特集を組んでいる。
私も目にしたことはある。「2カ月で、このカラダ」。そうならなければ「全額返金保証」などとうたい、赤井英和や香取慎吾が広告塔になっている。「ライザップ」のCMがいかに多いかは、「アメリカンファミリー生命保険(アフラック)」が同期間で半分の279本だったことでわかる。
ここを立ち上げたのは、健康食品の通販を手がける「健康コーポレーション」という会社で、社長は37歳の瀬戸健という人物。14年3月期の売上高は約239億円。それに対して広告宣伝費は約49億円、約20%にもなる。
新潮によれば「ライザップ」の特徴は、ジムでのトレーニングと炭水化物の摂取を徹底的に排する低糖質食事法にあるという。入会金は5万円で、トレーニングを週2回、2カ月で計16回行う最もポピュラーなコースでさえ、29万8,000円だそうだ。
だが、マンツーマンで指導されるというから、トレーナーたちがプロフェッショナルなら、このくらいは仕方ないのかもしれない。
現役店舗責任者は「現在、全体でトレーナーは800人ほどいますが、その内8割から9割はパートタイマーです。時給は基本的に900円となっていて、ゲスト(客)のトレーニング中は1400円にアップします」と語り、元トレーナーは「ライザップは短い研修で大勢の未経験者をトレーナーにしてしまっており、危険です。(中略)研修を担当している人が、“こんな短期間じゃ使える人材は育たない”とボヤいていましたよ」と話している。
それに労働時間が長く「中には(残業時間が=筆者注)100時間を超えている人さえいますよ」(現役店舗責任者)というから「まさにブラック企業」(同)のようだ。
食事制限については、調味料の糖質まで抜けという厳しいものだそうで、しかも短期間で激しい筋トレを行うから、「これはもはやボクシングの減量の世界で、『あしたのジョー』の力石徹を生み出しているようなもの」(秋津壽男秋津医院院長)。それに、トレーニングが終わってからも同じ食生活を維持できなければリバウンドしてしまうそうである。
そのためかどうか、血圧が高くて降圧剤を飲んでいた客がトレーニング中に失神したり、ヘルニアになってしまった客がいたり、「去年の夏、品川店では、客がトレーニング中に脳卒中になるという“重大な事故”が起こりました」(元トレーナー)
客がトレーナーの対応に怒って入会金を返せと言うと、「会則で(返金は)会社が承認した場合」と書かれていることを持ち出して渋るそうだ。
瀬戸社長は新潮のインタビューに答えてはいるが、私が一番聞きたいトレーナーたちの研修時間の短さや技量アップ問題をどう考えるのかについては質問していないため、私には不満足なものであった。ここがインチキジムだとは言わない。これだけの食事制限とハードトレーニングをすれば、それなりの結果が出て当然であろう。それならボクシングジムへでも通ったほうが費用も安くて、達成感もあるのではないか。しょせん、カネで買った肉体は相当強固な意志がなければ維持できないはずだ。
そんな無理をせず、おいしいものを食べて、新宿御苑や神宮外苑でも散歩していたほうが人生は楽しい。少しくらい太っているほうが男も女も見場がいいと思うのだがね。
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