中国コンビニ飲料に毒物混入で5人が死傷! 格差拡大で続発する貧困者の“報復テロ”
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さらに14年7月には、上記事件の模倣犯が出現。街そのものが世界最大級の日用品雑貨卸売市場といわれる義烏から杭州に向かうバスの車内で可燃物に点火し、29人が重軽傷、本人も重傷を負う事件を起こした。男は人付き合いが苦手で、会社の部署をたらい回しにされており、事件を起こして名を挙げたかったと供述している。同月には広州市内のバスでも同様の事件が起きており、2人が死亡、37人が重軽傷を負う惨事が続いた。この事件の犯人は、田舎の山奥から出稼ぎにきた内装業の青年で、ヘルニアを患った後、仕事ができなくなり生活が破綻。生きる希望を見いだせなくなった後、犯罪行為に及んだという。
犯人に共通しているのは社会的弱者であり、社会から、努力しても報われない環境へ追い込まれたと感じていることだ。貧乏や、定職に就けない者を蔑視する社会で虐げられても、物事の善悪だけでも正しく考えるための教育すら受けていない者たちが短絡的な社会的復讐を繰り返している傾向にある。報復対象は普段の生活で関わりのある者とは限らず、電車やバスで偶然、一緒になった人々も対象となる。失意の底に沈む彼等もまた、中国の経済成長と共に広がる格差社会の被害者だ。
「繁華街なんかに行くと、たまに気が触れたかのような出稼ぎっぽいおじさんがいて、理由もなく子どもを殴ったり、おばさんに蹴りを入れたりしている。たぶん仕事にあぶれた人なんでしょうけど、自暴自棄になって憂さ晴らししている光景をここ数年、たびたび見かけるようになりました。車内での放火ももちろん怖いですが、日常的にそういう不審者がウロウロするようになると、いよいよこの国の経済はヤバイなと実感しますね。株高? そんなのは、中間層以下には関係ない話でしょう……」(深セン市内に住む日本人駐在員の妻)
中国国家衛生・計画生育委員会が5月に発表した「2015年中国家庭発展報告書」によると、世帯所得上位20%と下位20%の差は19倍に達したという。貧富の格差が急激に進む中、“交通機関での自爆テロ”や“食品テロ”が今後も増えることが予想される。習近平政権は腐敗役人の一掃にはある程度の成功を収めたが、こうした社会不満の蓄積に対してはまだまだ手つかずの状態だ。
(取材・文=棟方笙子)
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