自殺や過労死まで……“人材の使い捨て”が常識の韓国テレビ界は、日本よりブラックだった!?
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韓国のテレビ業界の雇用形態がこのように定着したのは、2000年から。政府が「独立映像制作会社を育てる」という名目で、各放送局はチャンネル全体の放送番組の中で、外注制作番組が占める割合を31%にしなければならないとした。また、ほかの放送チャンネルが次々と増え、収益が下がっていった地上波放送局は、制作費用削減のため非正規労働者を雇うようになり、それが今日の主流となったのだ。
放送事業者はチャンネル全体の放送番組の中でその放送事業者以外の者が制作した「外注制作番組」を一定比率以上編成しなければいけないという内容である。
「テレビ業界に入りたがる人は今でもたくさんいるので、安い労働力はいつでも手に入る。雇う側が優位にある業界の雰囲気も、非正規雇用問題の原因の一つでしょう」(放送局関係者)
こんなテレビ業界よりさらに過酷な労働環境で知られる韓国映画業界では、最近少しずつ変化の風が吹いている。日本でも公開された映画『国際市場で逢いましょう』製作チームが、クランクイン前にスタッフ全員と標準勤労契約書を交わしたのだ。
これは商業映画としては初の試み。その契約の内容は、1日12時間・週6勤務、4大保険(国民年金・労災・雇用・健康保険)の加入、残業・休日手当支給など。昔からアシスタントは最低賃金以下の給料、もしくは無給で働くのが当たり前だった業界だけに、この契約書の存在はスタッフ全員のやる気を高揚させたらしい。その上、同作品が大ヒットしたこともあり、これを見習う映画会社が増えているそうだ。
テレビ業界はまだ具体的な動きを見せておらず、最低賃金、もしくは休日だけでも与えてほしいという非正規労働者たちの叫びは、当分聞き入れられそうにないようだが、果たして――。
(取材・文=李ハナ)
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