女優・三津谷葉子が妖艶に魅せる!『欲動』
#映画
昨年に公開された映画『欲動』で、元グラビアアイドルで女優の三津谷葉子は、一糸まとわぬ艶かしいベッドシーンに挑戦している。その様子は、まさに「官能的」という言葉がぴったり。女性監督・杉野希妃だからこそ撮影できた野獣のようなセックス描写は、男性のみならず、女性でもにも十分にそのエロスを堪能できることだろう。
深田恭子や酒井彩名なども出場した1996年のホリプロタレントスカウトキャラバンで優秀賞を受賞し、デビューを飾った三津谷葉子。グラビアアイドルとして、雑誌や漫画誌などの表紙を飾る活躍を見せながらも、彼女が本当にやりたかったのは本格的な女優としての活動だった。そんな彼女が抱えていた満たされない表現欲求は、今作によってついに開花する! 『欲動』の制作にも、脚本の段階から企画に参加しておりストーリーの構想にも携わったというから、並々ならぬ力の入れようが伺える。自身初となる、フルヌードによる濡れ場を抵抗なく演じることができたのも、彼女自身の強い思いが込められた作品であり、物語の内容に深く共感したからこそなのだ。
だからこそ、そのエロスだけではなく、作品の高いクオリティにも注目してほしい。釜山国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞し、一躍脚光を浴びた本作は、ベルリン国際映画祭でも金獅子賞を受賞したキム・ギドク監督から「人間の深い悲しみと傷を治療してくれる医者のような映画」と絶賛された。バリ島の美しい風景を舞台に、死と向き合う夫(斎藤工)と、性の欲求に突き動かされる妻・ユリ(三津谷)、そして出産を控えた夫の妹(杉野希妃)という、「死」「生」、そして「性」が交錯するストーリーには、本能としての人間の姿が詰め込まれているのだ。そして、その象徴となるのが、本作の海外タイトルである「TAKSU」だ。
「TAKSU」は複雑な意味が込められている言葉だ。筆者が以前、バリ島を訪れた時に、バリ舞踊の踊り手が「芸術にとって最も必要な『魂』のようなもの」と、この言葉について解説していた。バリヒンズーという独自の宗教を育んできた南の島では、芸術文化や人々の生活など、あらゆる部分に生や死というスピリチュアルな価値観が行き渡っている。そんな島で、ガムランやケチャなどのバリ芸術を背景としながら、「性欲」という人間の根源に、三津谷演じる妻のユリは触れてしまう。三津谷の演じる狂おしいまでのセックスを見ていると、人間という動物の業の深さを味わうことができるだろう。バリという”神々の島”が、この作品を創作させたと言っても過言ではない!
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