ジョージ・クルーニーのディズニー初出演映画 話題のSF大作『トゥモローランド』
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今週取り上げる最新映画は、スペクタクルな視覚効果とスリリングな展開が魅力のハリウッド製娯楽大作2本。新進スターが輝く若者向け映画のようでいて、奥行きある世界観や批評的な視点が幅広い世代の観客にアピールする充実作だ。
『トゥモローランド』(6月6日公開)は、『Mr.インクレディブル』(2004年)、『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(11年)のブラッド・バード監督が、ディズニー映画初出演となるジョージ・クルーニーを迎えて描くSFアドベンチャー。1964年のニューヨーク万博に自作のジェットパックを持ち込んだ発明少年フランクは、美少女アテナに導かれて秘密のルートを抜け、超ハイテク都市空間「トゥモローランド」にたどり着く。時は流れて現代、宇宙旅行を夢見る女子高生ケイシーは、手荷物に紛れていたピンバッジの不思議な力により、別世界にそびえ立つトゥモローランドを訪れて驚嘆する。現実に戻ったケイシーは、バッジを奪われそうになるピンチをアテナに救われ、孤独な中年男になっていたフランク(クルーニー)と共に、再びトゥモローランドを目指す。
ウォルト・ディズニーが晩年に構想した実験的未来都市がモチーフになったという本作。ジェットパックで空を飛んだり、ガラス張りのモノレールでハイテク都市を俯瞰したり、パリ某所からスチームパンク風の宇宙船で飛び立ったりと、テーマパークのライドを思わせる冒険が満載だ。主要キャストで特筆すべきは、アテナ役のキュートなそばかすっ娘、ラフィー・キャシディ。『つぐない』(07年)でシアーシャ・ローナンが、『キック・アス』(10年)でクロエ・グレース・モレッツが一躍スターになったときと同様の存在感と演技力で、2人に続く若手女優の逸材として今後も要注目だ。
『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』(公開中)は、人気ヤングアダルト小説を原作にジェニファー・ローレンス主演で映画化した『ハンガー・ゲーム』(12年)シリーズの3作目にして、完結編2部作の前編。独裁国家パネムが主催する殺人サバイバルゲームの闘技場から、危機一髪で反乱軍に救出されたカットニス(ローレンス)は、コイン首相(ジュリアン・ムーア)率いる反乱軍とともに戦うことを決意する。これに対し、パネムのスノー大統領はカットニスの盟友ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)を人質に取り、抵抗勢力を抑えようと画策。政府軍の爆撃をしのいだ反乱軍は、ピータ救出作戦を決行する。
主人公の人物像がフランス革命のジャンヌ・ダルクを模していることは第1作から明らかだが、いよいよ今作ではカットニス自身が革命の象徴となることを受け入れ、抑圧された人民を鼓舞する役割を担うことになる。両陣営がメディア合戦を繰り広げるなか、カットニスがカメラの前で革命のシンボルを「演じる」舞台裏を見せる場面もあり、現代の戦争とメディアの関係をシニカルに笑うかのよう。昨年2月に他界したフィリップ・シーモア・ホフマンは、存命中に本作と次作『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』(今冬公開予定)の出演シーンの撮影を済ませており、憂いを称えた表情が胸を打つ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『トゥモローランド』作品情報
http://eiga.com/movie/79351/
『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』作品情報
http://eiga.com/movie/80330/
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