金さえ払えば学位が取れる!? 受験シーズン到来の中国名物「野鶏大学」とは
#中国 #東アジアニュース
「毎年この時期になると、必ず話題に上るんです」と話すのは、中国在住ライター三井和雄氏だ。これは“野鶏大学”のことである。
「この“野鶏(イェージー)”、一部の中国通の方々が知っている“街娼”という意味ではありません(笑)。この場合は“非合法の”という意味で、野鶏大学は非合法大学、つまりニセモノの大学というわけです」
中国では毎年6月上旬に受験シーズンのピークを迎える。大学入試に当たる「高考」が、全国で2日間にわたって行われるのだ。
高考とは「普通高等学校招生入学考試」の略で、日本でいえば国公立大学のセンター試験のようなもの。日本の場合はセンター試験での点数を見て受験大学を確定し、それから二次試験を受けて合否が決まるが、中国の大学入試は二次試験がなく、高考のみの一発勝負。ここでの点数によって、入ることのできる大学が決まるのだ。
「そのため、受験生やその親たちの試験に向けた真剣度は、生半可なものではない。なにせこの2日間の結果次第で、その後の人生がほぼ決まってしまいますから。親にとっても、子どもの将来次第で老後の生活が変わってくるだけに、ある意味、子ども以上に必死です」(同)
無事にいい大学に入学できれば問題ないが、希望校に進めなかったり、大学そのものに行けない者も大勢出てくる。しかし、中国は今も昔も学歴社会。大学を出ていなければ、いい職を得ることは難しい。そこで出てくるのが“野鶏大学”だ。
「以前なら、野鶏大学といえばアメリカにあるエセ大学のことでした。お金を払えば入学できる、授業に出なくても学位がもらえるというやつで、それに騙されてお金を払って留学した小金持ちのバカ息子・娘の被害が後を絶たず、中国でも大きな問題になりました。その野鶏大学が、今では中国にまで出現してきているんです」(同)
報道によると、現在この野鶏大学は確認されているだけで210校もあり、その大学名の特徴は、中国に実在する大学の名前の一部分だけを変えたものが多いという。例えば、北京工商大学という実在する大学をもじって「北京工商学院」にするなどだ。特に、大学名に「中国」「北京」「経済」「貿易」「科技」が入っていると、かなり怪しいという。
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