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「入院させるくらいなら自宅に閉じ込める」偏見・差別に苦しむ、中国・精神病患者の家族たち

seishin0527-3.jpg広東省中山市内にある病院の精神病棟。

 「中国華商報」は、さらに重度の精神病患者を持つ家庭が、本人を病院に入院させたがらない要因について分析している。彼らのうち70%が、他人に知られることを恥ずかしいと感じてしまうという。また、13年5月1日より施行された「中国精神衛生法」では、他者に危害を及ぼす可能性のある精神病患者を強制的に病院に収容する明記されている。しかし、家族を強制的に入院させることに対して負い目を感じる家庭が中国には多く、病院に入院させるくらいなら本人を自宅に閉じ込めてしまうのだ。

 しかし対応の遅れから、中国では、精神病患者が引き起こす暴力事件や殺人事件が年間で数万件発生しているといわれている。

「中国では、精神病患者に対する差別がヒドイ。90年代には、精神病棟の“見学ツアー”なるものがあった。塀の外からお菓子や食べ物を投げて、寄ってくる患者を見て楽しむという非人道的なものです。近年、さすがにそれはなくなりましたが、今でも差別意識は残っており、精神病患者の多くは自宅で軟禁・監禁状態に置かれています」(北京在住の日本人大学講師)

seishin0527-2.jpg映画『収容病棟』のワンシーン。中国だけでなく、世界中で話題になった

 13年に中国で公開されたドキュメンタリー映画『収容病棟』では、中国雲南省の精神科病院に入院している重度の精神病患者にスポットを当てて話題となったが、これまで中国であまり注目されていなかった精神病という社会問題を浮き彫りにしたのがヒットの理由だった。

 家族にとって、行政の支援はもちろん大切だ。しかし、社会全体の精神病に対する偏見が、家族を一番苦しめているのかもしれない。
(取材・文=青山大樹)

最終更新:2016/01/28 16:03
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