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「入院させるくらいなら自宅に閉じ込める」偏見・差別に苦しむ、中国・精神病患者の家族たち

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 日本における精神病の患者数は、厚生労働省の発表したデータによると2011年に300万人を超えたという。一方、お隣の中国で同じ年に当局が発表したデータによると、重度の精神病患者数は全土で1,600万人を超えたという。しかも、軽度の患者を含めると1億人を超えるというデータもある。

 問題はここからだ。中国では、これだけ多くの重度の精神病患者がいながら、入院患者数はわずか12万人しかいないのだ。そこには、日本とは違う中国社会特有の問題が見えてくる。「中国華商報」(5月18日付)では、中国国内で重度の精神病患者を持つ家庭の悲惨な現状を報告している。

 同紙によると、西安市に住む60代の男性の場合、国有企業を定年退職した後、重度の精神疾患を持つ26歳の息子と妻の3人で暮らしているという。成績不良により、高校を中退した息子は、自宅に引きこもるようになり、異常な行動が目立つようになった。壁に向かって独り言をつぶやき、時には家族に暴力を振るい、自宅の壁や食器などを破壊してしまうこともたびたびあった。極めつきは、自宅近くで野良猫を故意に踏み潰して殺してしまったことだ。近所からは好奇の目で見られるようになり、医師から「総合失調症」と診断されたが、毎月6,000元(約12万円)の年金から、息子の治療費として4,000元(約8万円)を捻出する余裕はなかった。

 そこで、男性は仕方なく自宅の一室に息子を閉じ込め外から鍵を掛けてしまった。夜から明け方にかけ、部屋で騒ぐ息子の声を聞き、毎日泣きながら妻と過ごす日々が続いたという。一番の心配は、自分たちが死んだ時に息子はどうやって生きていくのかという問題だ。行政は果たして保護してくれるのか、不安で眠れない毎日を過ごしている。精神病患者が殺人事件を起こしたりするニュースを見るたびに、「まだうちはマシかもしれない」と、無理やり自分たちを慰めている。

 一方、同じ西安市に住むある家族も、36歳の息子が重度の精神病だ。42歳になる姉は、弟の病状について、目に涙を浮かべながら同紙の記者に語った。

「弟を自宅に閉じ込めて、もう4年になります。暴力がひどく、家の家具や電化製品はすべて壊されました。実家には、必要最低限の家具しか置いていません」

 姉は結婚して今は実家を出て暮らしているが、年老いた両親と弟が心配で1週間に2回は実家に帰る生活をしている。姉は仕事で出世の機会が何度かあったが、弟の面倒を見るために諦めたという。弟を病院に入院させようと試みた時期もあったが、愛する息子にそれはさせたくないと、母親が頑なに反対した。同紙のニュースを見た中国のネットユーザーから、中国版Twitter「微博」上に多くの意見が寄せられた。

「気軽に病院に連れていけない理由として、きっと医療費が高いことも関係していると思う。重度の患者は、治療費をタダにしてあげられないのかな?」
「今の中国は社会的なストレスが多くなっているから、これからこのような人たちがさらに増えてくると思う。国は優先的に福祉の整備をするべきだ」
「家賃が高騰するほど給料は下がる、俺も精神病になりそうだ……」

など、政府の積極的な支援を期待する関するコメントが目立っていた。

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