街ブラ番組『ウルトラ怪獣散歩』が起こす、怪獣×東京03という化学反応
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怪獣たちの「声」を担当するのは東京03だ。高い演技力で、リアリティのある会話劇からなるコントを得意とする3人組。メフィラス星人は角田晃広、ザラブ星人やメトロン星人は飯塚悟志、ダダやケムール人は豊本明長が演じている。彼らが声を当てることで、怪獣たちは命を吹き込まれたようにイキイキと動き出す。東京03のコント同様、その会話にリアリティがあるからだ。もはや、それぞれの怪獣たちが、彼らが演じるキャラクターそのものの性格だったかのように見えてきてしまうのだ。
番組では、食レポで訪れたお店にちゃぶ台を用意して、メトロン星人に名場面を再現させたり、鎌倉の街のBGMに合うのは「サザン」か「TUBE」かで怪獣たちの間で論争が起こり、海岸で取っ組み合いのケンカ。夕暮れの「ウルトラファイト」状態になったりと、やりたい放題の遊びっぷり。
オープニング曲も「来たぞ われらの ウルトラマン♪」と歌う「ウルトラマンのテーマ」だし、サブタイトルも「メフィラス星人 メトロン星人 ケムール人登場」とおなじみの書体で書かれている。本家・円谷プロが関わっているだけあって、パロディもいちいち“本気”だ。『ウルトラ怪獣散歩』は、『ウルトラマン』のパロディと街ブラ番組のパロディが高次元で融合した番組なのだ。
街を楽しそうに歩く怪獣たちの姿は、一見シュールだ。だが、そこに東京03が演じる声が加わると、奇妙なリアリティが生み出される。一方、東京03は今でこそ徐々に活躍の場を広げているものの、ほんの少し前まで「テレビ向きでない」という烙印を押されていた。いまだに、テレビではその高い実力に見合うような活躍をしているとは言いがたい。その境遇は、「怪獣」だからという理由で撮影NGを食らい、「人間世界に入れてもらえない悲しい存在なんですから」と嘆く怪獣たちとどこか重なる。しかし、怪獣という、いわばポップなアイコンを通すと、その会話のやりとりの可笑しさが一気にテレビ的に映えていく。
怪獣×東京03という『ウルトラ怪獣散歩』の実験は、怪獣たちに新たなリアリティを、そして東京03にテレビ的なポップさを与える化学反応を起こしたのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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