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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ユージ、ハーフタレント枠から脱却?
週刊!タレント解体新書 第26回

飽和状態の“ハーフ枠”でユージがひとつ抜き出る理由『解決!ナイナイアンサー』(5月12日放送)を徹底検証!

yuji.jpgレプロエンタテインメント公式サイトより

 5月12日に放送された日本テレビ系『解決!ナイナイアンサー』にて、ハーフ芸能人を集めた座談会が行われた。人気企画の第2弾で、今回の座談会出演者は植野行雄(デニス)、JOY、春香クリスティーン、リロイ太郎、ざわちんという5人のメンバー。ハーフタレントならではのあるあるやエピソード、あるいは過去の秘話を披露し、座談会自体は盛り上がった。

 だが、この番組の中で最も印象的だったのは、デニス植野が冒頭に発した「ハーフタレントは飽和状態」という発言であった。これは確かに事実である。現在の日本の芸能界において、ハーフタレントの人数はかなり多い。そしてまた、大抵の場合、テレビが求める「ハーフタレント」とはそれ以上でも以下でもないため、スタジオゲストのアントニー(マテンロウ)が語ったように、自分が行けなかった仕事がデニス植野に回っているなどの現象はしばしば起こっている。そもそも番組で「ハーフ芸能人座談会」が企画されているという時点で、ハーフタレント界はいま一つの転換期を迎えていると言ってもよいだろう。

 そこで必要になってくるのは、ハーフタレントという枠からの脱却である。ハーフタレントとしてではなく、その人自身として番組から呼ばれるようにならなくては、芸能界で生き残ることはできない。たとえばベッキーやローラ、ウエンツ瑛士もいわゆる「ハーフタレント」を出自としているが(ローラは正しくはクォーターだが)、いまやハーフタレントとして呼ばれることはない。あくまでもベッキーとして、ローラとして、ウエンツ瑛士として呼ばれるわけであり、つまり「ハーフタレント枠」から飛び出し自分自身の枠を作れるかどうかが、彼らの行く末を決めることになる。

 さて、このようにハーフタレントが乱立する中で、いま現在進行形でその枠から脱却しようとしているタレントがいる。それがユージだ。かつてはJOYとのコンビで人気を博したユージだが、2014年2月に一般女性と結婚し、父親になったころを契機として、徐々に仕事の幅をスライドさせている。明らかに多くの番組で、ハーフタレントとしてではなく、あくまでもユージとして求められている仕事が増えている。

 それでは、いかにしてユージは「ハーフタレント」枠から脱却を果たすことに成功しつつあるのだろうか? そのヒントは、ユージ自身が書いた青春自伝的小説『マミーが僕をころしにやってくる』(※以下『マミー』)の中にあった。若くして両親が離婚し、日本で母親に育てられたユージが小学校にいじめられた反動で手の付けられない不良となり母とも絶縁、だが生まれ変わることを決意し母親と和解する、というストーリーだ。この『マミー』で描かれるユージ本人のエピソードとともに、ユージがいま現在行っているハーフタレントからの脱却方法を検証したい。

(1)自分だけの居場所を作る

 『マミー』の中でユージは小学校時代、ハーフであるということを理由にいじめを受ける。そのため、いわゆる中学デビューを果たすべく、中学校の入学式の日にヤンキーとなり、その後は不良の道へと進むことになる。この行動が倫理的にどうかというのはあるにせよ、ここでユージは自分だけの居場所を自らの手で作った。流された場所にいるのではなく、自分だけの居場所を作ることを決めたのだ。

 これはハーフタレントに置き換えれば、ハーフタレント枠ではない仕事をしっかり取ってくる、ということにほかならない。たとえばユージで言うならば、日本テレビ『所さんの目がテン!』やNHK Eテレ『すイエんサー』『趣味の園芸』への出演である。これだけ見てもかなり意識した上で、いわゆる知的な番組への出演を選択していることがわかる。これはもちろん、マネジメントの力も大きいとは思うが、しかしどの番組でもしっかり自分の立ち位置を理解して動くことができている。

 ハーフタレントとしての仕事をこなしているだけでは、その先もハーフタレントとしての仕事しか来ない。いじめられっ子であったユージが自らの生きる居場所を決めたように、ときにハーフタレント枠の仕事を蹴ってまでも、新しい居場所となる仕事を見つけるというのは重要だろう。

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