ウガンダでは国家ぐるみで強力サポート……アフリカで勢力を拡大する「中国マルチ商法」の闇
#中国 #東アジアニュース
6,400人もの大人数でフランスへ社員旅行に行き27億円も使ったり、人文字の長さでギネスを更新したりと、世界中のメディアでにわかに話題になっている中国大手健康商品グル―プのTIENS(天獅)。この豪華社員旅行の費用はアフリカの人々から搾取したものではないかという記事が、「鳳凰網財経」などの中国メディアに掲載された。
TIENSは世界110カ国で展開しているが、アフリカへは2000年頃より進出し、西アフリカから東アフリカまで広く展開している。「鳳凰網財経」によれば、「Think Africa Report」という英国のメディアが行ったウガンダでの調査として、(人口3,758万人のウガンダで)20万人がTIENSのマルチ商法に携わっていると伝えている。若者の失業率が80%を超えるウガンダでは、加盟料20ドル(約2,400円)を払って卸売価格で商品を仕入れて市場価格で販売すれば、新車や海外旅行も夢ではないとあって人気があるようだ。
背景として、ウガンダでは医療インフラが十分に整っておらず、医師や薬品も不足しており、庶民はTIENSの商品を薬替わりに頼らざるを得ない状態にある。またアフリカにおける販売では、TIENSの商品は薬草ベースであることを強調。「西洋医学で用いる薬剤には副作用があるが、東洋医学は薬草を使用しているため副作用がない」といった文句で販売し、現地の人も盲目的にそれを信じ込んでいるのだという。
TIENSのアフリカでの著しい成長には、政府からのサポートが欠かせない。TIENSはウガンダ政府衛生局のオフィシャルカレンダーに広告を載せており、写真には衛生局長をはじめ国会議員などがずらり。裏表紙もウガンダ副大統領主導の、TIENSグループによるウガンダ政府衛生センターへの寄贈式の写真が使われているという。
今回のTIENSによるフランス旅行は、世界中に散らばるマルチ販売員に対して「加盟して頑張れば金が儲かる」というアピールといえるが、実は昨年、日用品・化粧品・栄養補助食品の開発製造・販売を行う米国メーカーNU SKINの中国子会社が、今回の6,400人をはるかに上回る1万6,000人をドバイへ豪華社員旅行に連れて行っていた。
その前年である2013年、NU SKINの全世界の売り上げが31.7億ドル(約3,804億円)で前年比46%増だった。このうち台湾を含めた「大中華区」の売り上げが13.6億ドル(約1,632億円)とその4割を占めており、そのボーナスとしてのドバイ旅行だったようで、200機の飛行機、八ツ星ホテルといわれるエミレーツ・パレスを含む超高級ホテルの8,000部屋を押さえたという。確かに世界的に経済が落ち込む中で、このように豪華な団体旅行の経済効果は計り知れない。
「白猫であれ黒猫であれ、ネズミを捕るのが良い猫である」と1960年代に鄧小平が言った。「どんなネズミであれ、大金を使ってくれるお客様はいいお客様」と割り切り、次回はぜひ日本へ! と考えるべき、だろうか……?
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