「Apple Watchが買えない!?」Appleが韓国をスルーするワケ
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4月24日、Apple社製のスマートウォッチ「Apple Watch」が発売された。今後、ウェアラブル端末市場の主力商品になるだろうと予想されるスマートウォッチに、満を持してApple社が参戦したことになる。日本では販売予約開始直後から注文が殺到。現在、メディアやガジェット好きを中心にレビューが登場し、盛り上がりを見せているが、その光景をうらやましげに眺める人々がいる。それは、韓国のAppleユーザーたちだ。
「韓国にはApple直営店がありません。日本のAppleストアのように実際に触ってみられる場所も、当然ないんです。米国などでは売り切れが続出していますが、日本ではまだまだ在庫がある。そのため、中には日本まで買いに行くファンもいるのですが、中国の業者と間違われたり、言葉の問題で予約の仕方が分からなかったりと前途多難なようです」(韓国ITサイト記者)
去る3月9日、Apple社はサンフランシスコで開催されたイベントで、Apple Watchの第一次販売国を発表した。そこで挙がった国名はオーストラリア、カナダ、中国、フランス、イギリス、ドイツ、香港、日本、アメリカ。韓国はその対象とはならなかった。6月下旬には二次販売国での販売開始がウワサされているが、イタリア、スペインなどの名が取り沙汰されているだけ。またしても、韓国の名は「か」の字も出ていきていない。
ちなみに、韓国の一部メディアでは、Apple社が最近、ソウルおよびその近郊でApple Watchを担当するApple solution consultantという求人情報を出したことから、「販売開始は意外と近いのではないか」という前向きな予想が出てきているが、根拠に乏しくスケジュールは依然まったくもって不明のままである。
韓国では2012年に「iPhone 5」が発売された時も、二次販売国の対象から外された。当時、ウォールストリートジャーナルは「サムスンなど自国の製造業者に対する忠誠心が高いから」と分析していた。韓国では、サムスンをはじめとするIT企業が、国内市場の趨勢を掌握している。Apple社など外資系大手からすれば、扱いづらいし、真っ向から参入したとしてもそれほどメリットが大きくないと踏んでいるのかもしれない。実際、これまで参入したGoogleやYahoo!も勢力を拡大することができなかったし、流通大手Amazonも参入を常々ウワサされながら、いまだに確たる方針を発表できずにいる。
韓国経済全体から見れば、外資系企業にシェアを奪われておらず、国内企業が奮闘していると考えることもできる。ただ、ユーザーの立場からすれば、欲しいものを手に入れにくい “IT鎖国”状態に陥っているともいえよう。今年1月、ウォールストリートジャーナルは「韓国におけるiPhoneのスマホ市場占有率が15%から33%まで上昇した」とし、一方で「サムスンの占有率は60%から46%に下落」したと報じた。国内シェアの獲得合戦は、今後一層熾烈を極めていくことが予想される。もし韓国でApple社の製品が買いやすくなるとすれば、それは同時に国内企業の凋落を意味するだろう。Apple Watchが手に入りくい現在の状況を、喜ぶべきか悲しむべきか――。韓国のAppleユーザーにとっては、とても頭の痛い問題なのかもしれない。
(取材・文=河鐘基)
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