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「半グレ老人」急増中!? ストーカー、売春、万引……超高齢化社会を生きる『老人たちの裏社会』

51HQAtNgjaL.jpg『老人たちの裏社会』(宝島社)

 孔子は、『論語』において「七十にして心の欲する所に従いて矩を踰えず」、つまり「欲望に従って道徳から外れることがなくなった」と語っている。しかし、30にして立たず、40にして惑い続け、50にして天命のなんたるかを知らない現代社会。70を越えてもなお、道徳の規範を乱す高齢者は少なくない……。

 『老人たちの裏社会』(宝島社)で、ジャーナリストの新郷由起が描く高齢者たちは、読者の予想をはるかに超えて道徳をはみ出してしまった者ばかり。4人に1人が65歳以上という超高齢化社会を迎え、彼らは万引をし、売春をし、暴力を振るい、ストーカーになり……と、若者と変わりない犯罪行為や迷惑行為を行っているのだ。

 青少年の犯罪という印象が強い万引だが、2013年には未成年者の検挙数1万7,000人に対して、65歳以上の高齢者はなんと2万8,000人あまり。実に、万引検挙者の3人に1人が老人という状況になっているのだ。その動機として、少ない年金では生活ができなくて思わず万引に手を染めてしまった……と、苦しい経済状況を語る高齢者も少なくない。しかし、その一方で、家庭での不満が鬱積し「生きている感じがする」と語る高齢女性や、「大した金額じゃなきゃ、見つかってもそれほど怒れないでしょ」とうそぶき、万引が見つかって問い詰められると「年寄りをいじめて何が楽しいんだ」と逆ギレし……など、「スリルを感じたい」と遊び半分で万引に手を染める若者以上に悪質な事例も多いのだ。

 そして、そんな「元気な」高齢者たちは、恋愛やセックスに対しても貪欲。出会い系サイトやシニア専門の婚活パーティーで恋愛を求める老人は、伴侶に先立たれた寂しい生活を共に過ごすパートナーを探すのみならず、自らの性欲を満たすためにも積極的に異性を探している。そんな彼らの下心につけ込んで、年老いた女性たちは個人売春やデート商法、結婚詐欺などさまざまな手法でその預貯金を巻き上げていく。

 また、デリヘル嬢やAV女優として活躍しながら、マニアックなニーズに応える高齢女性も少なくない。かつて、「性欲がない」と思われていた老人たちだが、そのあふれんばかりのバイタリティは、草食系と呼ばれる若者顔負け。62歳のデリヘル嬢が「自分がどれほど干からびていたか、どんなに飢えていたのかを思い知りました。いくつになっても女の部分が消えてなくなるわけじゃないんですね」と語る姿からは、生涯にわたって尽きることがない性欲という業の深さを思い知ることだろう。

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