19歳から飲酒OKでも、24歳までCM出演不可……韓国「青少年の飲酒問題」をめぐる歪みとは
#韓国 #東アジアニュース
日本でも活動する韓国の人気女性歌手IU(アイユー)が4月24日、韓国の検索ワードランキングに急上昇した。人気者とはいえ突然のことに、ネット上では「一体どんなスキャンダルをすっぱ抜かれたのか」と話題になったが、その理由はCMにまつわるものだった。
かつて、“韓流四天王”の一人として人気を集めたチャン・ドンゴン。彼が日本で認知されるきっかけとなった「チャミスルチュセヨ(チャミスルください)」というCMを覚えているだろうか? 韓国の人気焼酎「チャミスル」のCMだ。現在、その広告モデルを務めているのがIUである。
23日、韓国では「国民健康増進法」の改正案が、国会保険福祉委員会を通過した。その内容とは「新聞、インターネット、ポスターなど酒類広告に満24歳以下の芸能人やスポーツ選手を起用することを禁ずる」というもの。IUは1993年生まれの21歳。改正案のタイミングで、たまたま白羽の矢が立ってしまったといわけだ。
この改正案はセヌリ党のイ・エリサ議員が発議したもので、“青少年の保護”がその動機だという。まだ飲酒を許されていない青少年たちにとって、憧れの対象である、ほぼ同世代の有名人が広告に登場すると、それに影響を受けて飲酒を誘発してしまうのではないかと懸念しての改正案だという。
改正の動機は至極真っ当なのだが、なぜ24歳がラインなのか? 実は韓国の「青少年基本法」において、9歳以上24歳以下を青少年と規定しているためなのだ。だが、法律上、飲酒自体は満19歳から認められている。したがって、もしこの酒類広告に関する法律の改正案が本会議も通ると、飲酒可能な年齢であっても、24歳以下の有名人は公な活動としては飲酒が許されない、というかなりいびつな状況に。そのため韓国では今、「有名人たちの広告が、それほど未成年者の飲酒に影響を与えるのか?」という議論が巻き起こっている。イ・エリサ議員は、実際にアメリカやイギリスなどでは満25歳以下の登場人物を起用していないという他国の実例も挙げ、未成年者の飲酒率を低下させようと努める姿勢を崩していない。業界の自主規制だけには任せられない、といったところだろう。
とある調査では、韓国の未成年者の飲酒率は16.7%で、6人に1人が飲酒しているという世界的にも高い数字が出ている。成長途上にある未成年者の飲酒は憂慮すべき社会的な問題だが、法律で縛りすぎているとも感じられる今回の改正案。まだまだ議論が続きそうだ。
(文=梅田ナリフミ)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事