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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.320

マイノリティー側から眺めた世界はかくも美しい! 早熟の天才が描く社会派ドラマ『Mommy/マミー』

mommy_03.jpg教員のカイラは失声症になり、休職状態。社会から必要とされていない3人だが、3人がそろうとそこはパラダイスのような楽しさに溢れていた。

 『Mommy』はグザヴィエの監督デビュー作『マイ・マザー』の進化形とも言えるだろう。少年役こそ10代のアントワーヌ・オリヴィエ・ピロンに譲っているが、アンヌ・ドルヴァルとスザンヌ・クレマンは『マイ・マザー』に続いて同じく母親役と教師役を演じている。『マイ・マザー』の母子と同じように、『Mommy』のスティーヴとダイアンの母子も似た者同士ゆえにケンカが絶えない。愛情があまりに濃すぎて、一緒にいるとどうしようもなく傷つけあってしまう恋人同士でもある。この母子の強い結びつきの中には、懇意になったカイルでも迂闊には入ることができない。障害を持つ子どもに対する母親の愛の深さを、厳しい現実が皮肉にも際立てることになる。

 レコードジャケットのように美しい名シーンの数々を見ているうちに、記憶とは決して使い捨てられた遠い過去の遺物ではないことに気づく。ひとつひとつの記憶が積み重なって、今の自分がいるのだと。そして、どんなにコドクな人間にも、かつて無償の愛情を注いでくれた恋人がいたことを鮮明に思い出させてくれる。その恋人の名前は、マミーという。
(文=長野辰次)

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『Mommy/マミー』
監督/グザヴィエ・ドラン 出演/アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン 配給/ピクチャーズデプト PG12 4月25日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、109シネマズ二子玉川、センチュリーシネマ、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマ、シネツインほかにて全国順次公開中
Photo credit : Shayne Laverdière / (c) 2014 une filiale de Metafilms inc.
http://mommy-xdolan.jp

最終更新:2015/04/29 12:00
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