“ワンオペ”はまだマシ!? 勤労監督官「労働者は奴隷」発言に見る、ブラック企業容認の韓国社会
#韓国 #東アジアニュース
深夜にアルバイトが1人で店を任される「ワンオペ」が過酷すぎると、批判の的になったすき家。労働環境の改善を発表した矢先に、「ワンオペ」店員が倒れるというショッキングな事件が起きるなど、にっちもさっちもいかない“ブラックぶり”を見せている。
バイトや正社員に過酷な労働を強いているのは、何も日本のブラック企業だけではない。お隣・韓国では、労働環境の劣悪さに加えて、最近では労働者を不当に扱うのが当然といった風潮が広がっている。国家行政機関から、それを承認するかのような発言が飛び出したのだ。
発言元は、韓国国内の不当労働を監視して、雇用政策の総括を行う雇用労働部(日本の厚生労働省に相当)。その勤労監督官の1人が、賃金問題の相談に来た労働者に対して、「みなさんは最近、“奴隷”という言葉がなくなったと思っているようですが、労働者には奴隷的な性質が多分にある」などと発言。本来はブラック企業を取り締まる立場にある人間が「勤労者は奴隷だ」とも取れる発言をしているのだから、政府がいかに労働者を軽んじているのかがわかるだろう。案の定、この発言は波紋を広げている。
実際、韓国では、不当な労働を強いられる労働者が数多くいる。2月には、ソウル市のマクドナルド新村(シンチョン)店で、バイトたちによるデモが行われ、店舗が占拠される事件が起きた。デモを行ったバイトたちは、ただでさえ最低賃金の時給5,580ウォン(約620円)で働いているにもかかわらず、客の入り具合によって強制的に早上がりを命じられたり、出勤を取り消されたりする不当な扱いを受けてきた。その悪質な労働環境を変えようと、勇気ある1人のバイトが立ち上がり、労働組合に加盟して団体交渉を行おうとした。すると経営陣は、まるで紙クズをゴミ箱に投げ込むように、彼を強制解雇してしまったという。この一件が引き金となり、大規模な占拠デモが発生したのだった。
デモ企画者の1人であるAさんは、「私だけではなく、ほかの非正規労働者も最低賃金で生活しています。これは私たち個人の問題ではなく、韓国社会の構造的な問題だと思います」と嘆いている。
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