実は“児童輸出大国”だった!? 韓国で「海外養子」が多いワケ
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彼らがアジアからアメリカ・カナダなどに養子を“輸出”したがる理由は、人権意識の低さ。養子縁組では、実の親と里親の間でトラブルが発生するケースが多いのだが、権利に疎い(とアメリカ人が思っている)アジア人であれば、そのリスクは低下する。また、太平洋を越えて遠く離れてしまえば、子どもがどのような扱いを受けているか知る由もない。また、アジア人児童を望むアメリカの里親の数は意外と多く、韓国が主な供給源とされてきたのだ。最近では、アメリカ人の里親に養子に入った児童が虐待を受けて死亡した事件などに対し、批難の声が高まりつつある。
その海外養子の大きな問題のひとつに、実親と里親が養子の事実を他言しない制度がある。サマンサとアナイスのように、再会を手放しに喜べるケースは非常に少なく、本当の親や家族のことを知ることができないまま、一生を終える人々も少なくない。
最近では、オランダで養子となったとある韓国人女性が生き別れた実の親の存在を偶然知り、韓国へ行く決心を固めたが、5年間が経過した現在でも実親に会えずにいるそうだ。彼女をはじめとする当事者たちの告白によると、海外で養子になった子どもの多くは、ある時点で自分の出自に気付くのだという。というのも、米国や欧州が主な養子縁組先となるため、肌の色や外見から、自ずと自覚せざるを得ない。結果として、「本当の親に愛されていなかった」と心に傷を負ったり、アイデンティティーの問題で悩みを抱えざるを得ない状況に追い込まれるそうだ。
サマンサとアナイスの再会の様子は、『Twinsters』(https://www.facebookstories.com/stories/53771/twinsters)というドキュメンタリー映画に記録され、今年に入り欧米を中心に公開されている。その姿は幸福そのもの。韓国の海外養子や、離れ離れに暮らす家族の希望となることが望まれている。
(取材・文=河鐘基)
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