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『マトリックス』の感動再び!? ウォシャウスキー姉弟による壮大なSFアクション『ジュピター』

swsphotomain-xxx.jpg(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

 今週取り上げる最新映画は、『マトリックス』シリーズ(1999~2003年)のウォシャウスキー姉弟による壮大なSFアクションと、元ももいろクローバーの早見あかりが「忘却される不思議な少女」という難役に挑んだ恋愛ファンタジー。スケール感はずいぶん異なるが、あり得ない境遇に苦悩し葛藤するヒロインに共感し、思わず応援したくなる2作品だ。


 『ジュピター』(公開中、2D/3D上映)は、アンディ&ラナ・ウォシャウスキー姉弟によるオリジナル脚本のSFアクション大作。シカゴで家政婦として働くジュピター(ミラ・クニス)は、エイリアンに殺されかけたところを、遺伝子操作で生み出された戦士ケイン(チャニング・テイタム)に救われる。命を狙われる理由が分からないジュピターだが、実は地球は宇宙最大の王朝に支配されており、その王家であるアブラサクス家の亡き女王と同じDNAを持つ彼女が権力争いに巻き込まれたのだった。ジュピターは地球を守るため、ケインに助けられながら壮絶な戦いに身を投じる。

 人類を搾取する「上位の支配者」が存在し、それに気づかされた主人公が救世主になる、という大まかな筋は『マトリックス』シリーズとよく似ている。ただし今作の舞台は、異星人が木星のガス雲の中に築いた壮大な空中都市で、都市の驚くほど緻密でリアルなCG描画が圧倒的。ウォシャウスキー姉弟にとって初の3D映像もスムーズな奥行き感が工夫され、スピーディーなアクション(ケインが反重力ブーツで空を駆けながら戦うシーンの躍動感がいい)も動きに疲れることなく没入できる。『2001年宇宙の旅』(1968年)や『スター・ウォーズ』シリーズ(77年~)を想起させる要素もあり、重厚な世界観も見応え十分。SF映画ファンなら必見で、気軽に派手なアクションを楽しみたい向きにもオススメの1本だ。

 『忘れないと誓ったぼくがいた』(3月28日公開)は、平山瑞穂の同名ファンタジー小説を、『ベロニカは死ぬことにした』(2005年)の堀江慶監督が映画化。高校3年生のタカシ(村上虹郎)は、ある日出会った少女・あずさ(早見あかり)に恋をする。デートを重ねるようになった頃、あずさはタカシに、彼女が会った数時間後には相手の記憶から消えてしまうと告白。信じがたい話にとまどうタカシだったが、実際に同級生も担任も誰一人あずさを覚えていないことから、自分だけは絶対に忘れないと誓う。

 『百瀬、こっちを向いて。』(14年)では、二股をかけられている先輩男子からの頼みで同級の男子と恋人同士のふりをする女子高生を演じた早見あかりが、今作でも設定が切なすぎる悲恋のヒロインを好演。透明感ある早見の魅力が役柄にぴったりで、女優としての成長も確かに感じさせる。会った相手全員から忘れられてしまう恐怖と孤独は、現実には起こり得ないファンタジーとはいえ、クラス全員から無視されるいじめや、認知症患者の介護のメタファーとしても解釈できそう。ピュアなラブストーリーに、現代の切実な問題を喚起する要素がほろ苦さを添えている。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『ジュピター』作品情報
<http://eiga.com/movie/78098/>

『忘れないと誓ったぼくがいた』作品情報
<http://eiga.com/movie/80946/>

最終更新:2015/04/02 19:06
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