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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.315

世界の終わりに咲いた、世界でたったひとつの花 モキュメンタリーの終着点『コワすぎ! 最終章』

kowasugi0403.jpgカメラマン田代が生中継している最中に現われた謎の男(宇野祥平)。彼の口から出てくる言葉はキチガイじみている。信用できるのか?

 崩壊が迫る世界でひとりぼっちの戦いを強いられるカメラマン田代にとって、頼るべき存在は謎の男しかいない。言っていることはキチガイじみているが、常識が通用しなくなった現実世界では、もはや彼の言葉を信じるしかない。カメラマンとしての職業的な勘で、田代は彼の言動に賭けてみる。少なくとも、当たり前ではない結末が待っているはずだ。この謎の男は白石作品のファンならピンとくる、『オカルト』(09)に登場したあの男にそっくり。謎の男が現われたことで、これまで白石監督が手掛けてきた『コワすぎ!』シリーズ以外の『超・暴力人間』(11)や『殺人ワークショップ』(14)などの作品も一気に繋がりを見せ、見事な円環となっていく。白石監督はなぜ『コワすぎ!』シリーズでは“田代”と名乗っていたのかという疑問も氷解していく。信用できない現実社会に対し、拮抗するように白石監督が生み出してきた虚構世界が連なって立ち上がっていく。

 フィクションの中に真実を浮かび上がらせるモキュメンタリーの世界を突き詰めていくと、その果てには何が待っているのだろうか? 白石監督は最果ての世界に、妖しくも美しい大輪の花を咲かせる。世界の終わりに咲いた、世界でたったひとつの花を我々は目撃することになる。
(文=長野辰次)

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『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章』
監督・脚本・撮影/白石晃士 出演/大迫茂生、久保山智夏、白石晃士、宇野祥平 配給/「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」上映委員会 4月11日(土)より渋谷アップリンクほか全国順次公開 (c)2015ニューセレクト 
http://albatros-film.com/movie/kowasugisaishu

最終更新:2015/04/03 17:11
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