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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『逃走中』なぜ子どもに人気?
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第86回

本田望結の活躍に見る、『逃走中』が子どもたちを夢中にさせるワケ

「扉に入るのやめる」

と、いち早く出演者全員にチャットで意思表示する本田。しかし、ハンターに追われる中で、Ami、濱口、小林麻耶の3人が「誘惑の扉」に入ってしまう。10体増加したハンターたちに追い詰められ、その5分間で6人もの逃走者が確保されてしまった。

「もう自分が恥ずかしいよ」

 1時間以上、動けなかった本田はついに動き始める。そして、確保された逃走者を復活させる「ミッション」発動が通知される。

「絶対やります! 絶対やります!」

 「ミッション」は危険と隣り合わせだ。ハンターに捕まるリスクは高まる。事実、ミッション中に確保されてしまうことも少なくない。だから、ミッションに参加しないという選択肢も当然ある。だが、本田は、自分がその選択をすることは許せなかったのだ。そしてほかのメンバーと協力して「ミッション」を成功させると、それに貢献できた彼女はウキウキ気分で得意げ。その興奮を隠せない。

 一方、出演者のアレクサンダーから「自首」を相談されると、あからさまに軽蔑の眼差しを向け、こう言う。

「自首どうぞ。望結はしない。最後まで生き残る。あとミッションも絶対やる! さようなら。望結は捕まるかもしれないけど、みんなのために頑張ります!」

 残り時間わずかになると、「誘惑の扉」が再び現れる。

「そんなことはしない! 誰も入らなかったらハンターは来ないわけでしょ。入ったら大変なことになる! みんなを裏切ることになるから。絶対に入らない!」

と語気を強めた本田だが、ハンターに追われ、恐怖に駆られると、泣きそうになりながら、その扉を開けようとしてしまうのだ。

 『逃走中』での本田望結は、子どもらしさが全開だった。恐怖で思い通りに体が動かない葛藤、一転して「ミッション」に成功した後の得意げな言動、自分にも他人にも厳しくあろうとする正義感、逆にピンチに陥ったら逃げてしまう弱さ、何より目の前のことに前のめりで夢中になる姿。そのすべてが子どもっぽくて、愛らしかった。いや、彼女だけではない。出演者それぞれが、子どもっぽい本性を晒してしまうのだ。

 『逃走中』は子ども心を呼び覚ます。子どもだましでは、子どもはだませない。巧妙なミッションの設定と、「自首」を誘発するような人間心理をついた絶妙なゲームバランスが、いつだって本気で遊ぶ子どもたちを刺激する。夢中になるのは、子どもたちだけではない。なぜなら、大人にだって子ども心は残っているからだ。『逃走中』は、そんな子ども心をターゲットにした番組なのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから 

最終更新:2019/11/29 17:49
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