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人気監督が4役で臨む、ハートフルコメディー『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

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 今週取り上げる最新映画は、中学生たちが級友の死をめぐって学校内裁判を行うサスペンスミステリーと、元一流店シェフがフードトラックの移動販売で再起を図るハートフルコメディー。ジャンルも雰囲気も大きく異なるが、親と子の関係を考えさせる共通の要素もあり、共に見応えのある力作だ。


 『ソロモンの偽証 前篇・事件』(3月7日公開)は、宮部みゆきの長編ミステリー『ソロモンの偽証』を、『八日目の蝉』(2011年)の成島出監督が映画化した2部作の前編。中学2年生の藤野涼子は、冬の雪の朝に登校した校庭で、同級生の卓也の遺体を発見する。警察は校舎屋上からの飛び降り自殺と断定するが、不良生徒の俊次らが卓也を突き落とす現場を目撃したとする告発状が届き、事態は混迷。涼子は、卓也の友人という他校生・和彦らの協力を得て、生徒たちで真相を解明しようと学校内裁判を開くことを決意する。

 中学生キャストに応募した1万人から、2カ月にわたるワークショップを含む4次の選考で1クラス33人を絞り込むという、邦画史上最大級のオーディションを敢行。ヒロイン役を勝ち取ったのは、役名と同じ芸名で女優デビューを飾る藤野涼子。利発そうな張り出した額、強い意志を感じさせる眼差しが、真実と正義を求めるキャラクターと見事に重なる。彼女をはじめ中学生キャストの演技水準は高く、脇を固める永作博美、黒木華、市川美和子らのエキセントリックな怪演も強烈だ。前篇は裁判が始まる前で終わるため、尻切れ感は否めないが、『ソロモンの偽証 後篇・裁判』(4月11日公開)で真実が明かされるのを期して待ちたい。

 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(公開中/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント)は、『アイアンマン』シリーズのジョン・ファブローが監督・製作・脚本・主演の4役で臨んだハートフルコメディー。ロサンゼルスの高級レストランで総料理長を務めるカールは、高圧的なオーナーや辛口の料理評論家とケンカして店を辞めてしまう。息子のパーシーを連れて故郷マイアミを訪れたカールは、そこで食べたキューバサンドイッチのおいしさに驚嘆。サンドイッチの移動販売を思いつき、フードトラックを入手して、パーシーや仲間たちに助けられながら米大陸を西へと旅していく。

 食材から調理過程、完成した料理まで、シズル感あふれる映像とテンポの良い編集で構成されたシーンが、観る者の食欲を大いに刺激するはず。よそよそしい関係だった父と息子が、旅を通じて接近し、共に成長するという王道ロードムービーとしても上出来。小規模予算ながら、『アイアンマン』人脈のスカーレット・ヨハンソンとロバート・ダウニー・Jr.、ダスティン・ホフマンらハリウッドスターも華を添える。心温まるエピソードにスパイスの効いた笑い、後味すっきりの小粋な逸品をぜひご賞味あれ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『ソロモンの偽証 前篇・事件』作品情報
<http://eiga.com/movie/79712/>

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』作品情報
<http://eiga.com/movie/80440/>

最終更新:2015/03/06 23:00
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