「広告代理店に騙された」見せかけの“女性官能ブーム”に躍った出版界の地獄絵図
#出版
「広告代理店に騙された。女性官能ブームの仕掛けは失敗だった」
出版やゲームなどコンテンツビジネスを展開する業界から、そんな声が聞かれる。
3~4年前、一部の広告代理店が企業に「女性官能ブームが来る」と猛プッシュ、行政機関にまで「少子化対策になる」という話を持ちかけていたが、その結果はまったく出なかったというのだ。
きっかけは『ハリー・ポッター』や『ダ・ヴィンチ・コード』を超えたといわれる官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(ハヤカワ文庫刊)の大ヒットだった。女子大生がSM嗜好の若い富豪と交際する女性向け官能小説が2011年に書籍化されるや、世界で8,000万部以上も売り上げ、日本でも話題となった。今年は映画版が日本でも公開され、女性客の評判も上々なのだが、これに先駆けて広告代理店が各所に「女性官能ブームが来る」と関連商品の発売を促していたという。
大手出版社の編集者によると「将来的に大きな収益を上げるという触れ込みで、多数の女性向け官能書籍をプランしてきて、中にはシンボルになるような美人の女性官能作家を探せという指示もあった」という。
「『フィフティ~』が、もとは電子書籍だったということで、こちらも電子書籍向けに女性向け官能小説を連発した」(同)
しかし、日本では『フィフティ~』がブレイクした11年は女性向けの官能商品は、むしろ人気が下降する逆の状況にあったという。
「新潮社が10年以上前に始めた『女による女のためのR-18文学賞』も、ちょうどその11年から、官能作品だけではないものにリニューアルしたほどで、文章が下手でもエロならばよしとした風潮が作品全体のレベル低下を招いていたんです」(同)
これはゲーム業界も同じで、女性向けエロゲームが飽和状態になっていたことから、近年は売り上げが伸び悩んでいる状況だったという。ある広告業界の人間によると「ブームをプッシュした側は、確かな予測もなく内閣府の少子化対策にもこうした話を持ちかけ、巨額の調査費などを捻出させたり、ネット上でステマ記事を掲載させたりしていました。でも結果は、女性向け官能コンテンツのビジネスを始めた多くの会社が負債を抱える大失敗だった」とする。
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