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ゾンビアイドル小明のホラー映画レビュー!【第4回】

これぞ“映画大国”の真骨頂! 田代まさしにも勧めたい!?『インド・オブ・ザ・デッド』

akari0302.jpg↑これは映画のシーンではなく、ゾンビアイドル小明です
(撮影=尾藤能暢)

 しょうもない理由で失業したハルディク(クナル・クヘム)と、しょうもない女にプロポーズして失恋したラヴ(ヴィール・ダース)は、辛い現実から逃避するため、友達のバニー(アナンド・ティワリ)を連れてビーチリゾート・ゴアへ向かった。そこでナンパした女の子から「離島でロシアンマフィアが開催するレイブパーティーがあるの」と聞き、「イケてる~!」とパーティーに紛れ込む。が、そのレイブパーティーはどうやら新型ドラッグのお披露目パーティーだったようで、ドラッグを買った客たちが一斉にゾンビ化! 運良く(?)失業と失恋で金を使い果たしてドラッグを買えなかった3人はゾンビ化を免れ、ホラー映画とゲームで得た非常にぼんやりとした知識でゾンビに立ち向かうが、もちろんうまくいくはずがない! 八方ふさがりのぼんくら男子たちが贈るインド初のゾンビコメディー、ついに日本上陸!

 ……というわけで、ついにゾンビがインドにまで進出してしまったようです! でも、インド映画ってアレでしょ? だいたい歌ったり踊ったりして、異様に強い主人公のおじさん(主にラジニカーント)が敵を無双して、娘みたいな年のヒロインを3時間くらいかけて助けて、最後はみんなでまた歌って踊るやつでしょ? それにゾンビが加わったら、ラストはマイケル・ジャクソンの『スリラー』みたいになるっていうオチが容易に想像できちゃうんですけど(失笑)。

 とか思った奴は、全員インドに向かって土下座!!!! シャンカール監督の『ロボット』(2012年に日本でも公開された、割ととんでもないSFアクション映画)といい、インドはホントに平気で想像を超えてくるのです……。この『インド・オブ・ザ・デッド』も、開始早々に我々の「どうせ踊るんだろ」という期待に応えるように『スリラー』のオマージュが流れますが、踊るゾンビはここでお終い! その後は数十分間、インドのぼんくら男子のぼんくらな日常を見せつけられます。

 どの程度のぼんくらさなのかというと、主人公のハルディクは仕事をさぼってトイレでハッパを吸い、アフターファイブに同僚女性と会議室でチョメチョメし、それを上司に見られて失業。もちろん反省の色はナシの典型的チャラ男である。そしてラブは仕事中に女の写真に見とれ、やっぱりさぼってトイレでハッパを吸い、一度は彼女のために「俺は変わるぜー!」なんつって心を入れかえてプロポーズするも即玉砕。「変わるなんて言って損したわ、酒も煙草も女もどんどんやる! ドラッグもってこーい! ワハハ!」と開き直る真面目系クズ。

 そして、その2人に巻き込まれるのが、面倒見の良さがあだとなっている、パッとしない脇役気質のバーニー。序盤~中盤まで、こいつらのダメ~な感じのやりとりが延々続くので、「これってほんとにゾンビとか出てくるのかな」と不安になるほどでした。

 が、こういう本格的にダメな奴+比較的ダメな奴+損する友達の3人組のゾンビ映画って何かで観たよね? そう、『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)のショーン、エド、ピートです! それに八方ふさがりになってから登場するロシアンマフィア(かぶれのインド人)のボリス(サイフ・アリー・カーン)には、これってどう見ても『ゾンビランド』(2010年)のタラハシーじゃないか、と思わせるシーンも! 『スリラー』から近年のゾンビ映画まで、一見幅広いけれども直球なオマージュが所々に散りばめられていて、「なんだ、インド人だってゾンビ大好きだったんだね……!」と、初めてインド人に親近感を覚えました。

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