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『イン・ザ・ヒーロー』ブルーレイ&DVD発売記念インタビュー

「『俺を育てろ』と手紙を書いた──」“自己啓発書の雄”水野敬也と映画脚本の幸せな関係

InTheHero_S16.jpgクライマックスの百人斬りは圧巻のひと言。

──クライマックス以外で、気に入っているシーンは?

水野 いや、もう、すげえ……っていう言葉しか……。特に、唐沢さんと福士さんの演技が、ホントに素晴らしかったと思うんです。僕がすごい感動したシーンがあって、唐沢さんが危険なスタントに挑むことになったとき、後輩に「俺がやらなきゃよう、夢見れなくなるだろ」っていう、すごいシリアスなセリフがあって、そのあとすぐ「おまえも誰かのヒーローになれよ」って、お兄ちゃんの顔になるんですね。本城って、すごく滑稽なやつだし、めちゃくちゃ熱いし、笑いと涙を共有している人なんです。僕の想像上にはいるんですけど、その人を実際に体現するって、すごく難しいと思うんですよ。それを唐沢さんはホントに一瞬で、緊張と緩和というか、フッと笑えるようになったり、フッと熱い人になったりというところを行き来していて、いや、ホントにすげーなと。それと、ただ普通に走っているだけのシーンでもね、走り方ひとつに、本城が「20年くらい、毎日こうして走ってきたんだな」っていうのが、全部出ていた。泣けましたね。一ノ瀬リョウ役の福士さんも、完全に僕の中の一ノ瀬リョウでした。(『仮面ライダーフォーゼ』出身の)彼の中にある文脈だったんじゃないかと思うんですけど。あの2人の“バディ”な感じっていうんですかね、キャスティングとか、プロデューサーの李さんはじめ、そこを全部見て作っているわけじゃないですか。僕以外の人はすごいな! と。

──映画の製作は魅力的な仕事だった?

水野 すごく魅力的でしたね。ただやっぱり、関わる人が多い分、ダイナミックに動くし、乗組員のひとりみたいな感じでした。自分が船長ではないので、また貢献できるならやりたいし、そうじゃなかったら、また本の作業をやっていくのかなと。

自己啓発は“寒空の下の人たち”へのアプローチ

──『イン・ザ・ヒーロー』はヒーローの映画でしたが、水野さんにとっての幼いころのヒーローって誰でしたか?

水野 ヒーロー、そうですね。僕は中学1~2年から、ずっとゲームをやっていたんです。『ストリートファイターII』をずっとやっていた。ゲームのキャラクターは、僕はずっと好きだったし、僕を面白がらせてくれるし、受け止めてくれる。この、こういう手の動きだけで昇龍拳が出せる。現実の僕は出せないのに、彼らはすぐ出せる、確実に出せるっていう、夢をかなえてくれる受け手ではあったんですけど、僕の中でヒーローというわけじゃないんですよね。『ストリートファイター』が強くなればなるほど、現実の僕はストリートファイトが弱くなっていくという、そのジレンマに悩んでいた。女の子にモテないし、運動もできないということを、ずーっと思春期に抱えていました。そんなことから、やっぱりエンターテインメントはエンターテインメントでも、どこかで何か、現実とつなげて、おこがましいけれど、現実の行動を変えたい、考え方を変えるくらいまで何かを残したいという思いが、僕の中で生まれてきたのかもしれません。

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