人はなぜ働くのか? 人気監督が導き出した答え『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
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地元の人たちに長年愛されてきたソウルフードが一堂に会するB級グルメの祭典「B-1グランプリ」がきっかけで、富士宮焼きそばや八戸のせんべい汁はずいぶんメジャー化した感がある。太平洋を挟んだ米国でも、似たようなB級グルメブームが起きている。ミシュランで紹介されているような高級レストランよりも、公園や街角に停まっているフードトラックのランチメニューが人気を呼んでいるのだ。リーマンショック以降、お財布の紐が固くなった米国のビジネスマンたちにとって、手頃な値段で楽しめるフードトラックはとても魅力的に映るらしい。全米各地の人気フードトラックが腕を競い合うフードトラックコンテストやフードトラック祭りも開催されているとのこと。『庖丁人味平』『一本包丁満太郎』を愛読したB級グルメマニアには堪らんイベントですな。見栄や格式にとらわれずに、本当に自分が美味しいと思う食文化を気軽に楽しんじゃおう。そんな近年のB級グルメ志向をうま~く調理してみせたのが、ジョン・ファヴロー監督&主演の『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』なのだ。
人気料理人ロイ・チョイのもとで修業を積んだジョン・ファヴローが、陽気なラテン音楽に合わせて手際良く作ってみせるのがキューバサンドイッチ。これが、めちゃめちゃ美味しそう。パンに自家製ローストポークとスライスチーズ、ロースハムを挟んだだけというシンプル極まりない家庭料理だが、ホットサンドプレスでアッツアツに焼き上げるのがポイント。ガブッと丸かじりすると、パンの香ばしさに続いて、肉の旨味とトロトロのチーズが口の中で混然一体となり、思わず顔がほころんでしまう。試写の後、赤坂見附のキューバ料理店で作ってもらったところ、これがマジで美味かった!
ジョン・ファヴローといえば、『アイアンマン』(08)『アイアンマン2』(10)を大ヒットさせたハリウッドの人気監督兼個性派俳優。職なし、金なし、女なしのコメディアンたちを主人公にしたインディペンデント映画『スウィンガーズ』(96)の脚本&主演俳優として売り出した頃はほっそりした体型だったけど、監督作『エルフ サンタの国からやってきた』(03)がハートウォーミングなコメディ映画として高く評価され、メジャー大作『アイアンマン』の監督を任されることに。ギャラのアップに比例して、存在感だけでなく体重もぐ~んとアップ。そんなハリウッドの勝ち組になった彼にとって、転機となったのが『カウボーイ&エイリアン』(11)。ダニエル・クレイグとハリソン・フォードの二大スターが共演した話題作だったけれど、これが大コケ。ハリウッドでメジャー大作を撮るようになって、すっかりスポイルされてしまったと貶されまくった。ぢぐしょ~、オレはただの太ったブタじゃねぇ! 捲土重来、初心に戻って、かつてのような低予算インディペンデントスタイルで作り上げたのが本作というわけ。
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