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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 「中山秀征問題」を考える

中山秀征はなぜ“大物”で居続けられるのか? 日テレ『ネプ&イモトの世界番付』(2月13日放送)を徹底検証!

 2月13日に放送された『ネプ&イモトの世界番付』は、通常放送とは異なりクイズスペシャルと題して放送された。冒頭のコーナーは、○○な国1位、というヒントが4つ出されて各チームが早押しでどの国かを回答するというもの。ここでもゲスト出演者である中山秀征が、番組としての流れを作っている。数問のクイズに対して、中山秀征がどう回答したかは以下の通りだ。

「ロシア」(→不正解)
「中国」(→正解)
「インド」(→不正解)
「インド」(→不正解)

 番組開始からおよそ8分しかたっていないが、我々視聴者はすでに中山秀征が張り巡らせた罠の中にいる。お気づきだろうか? 重要なのは「インド」の2つの不正解だ。この二度目の「インド」で不正解となった際に、メインMCである名倉潤は「何回インド言うねん!」と突っ込んでいる。当然そうなるだろう。それに対して中山秀征と同じチームのハライチ・澤部佑は「インドに懸けてるんです、我々!」と返す。中山秀征はだめ押しのように「次(の問題は)インドください」と要求する。そしてそこから先の展開は、言わずもがなだろう。

 二度の「インド」で不正解した後、次の問題で、果たして正解は「インド」だ。しかし、それを答えるのは敵のチームである。中山秀征が作った「インド」の流れは、すなわち番組としての決まり事は、これによって完成する。

 確かにこの流れに新しさはない。似たような景色を、我々は何度もテレビで体験している。しかしこれが、これこそが、中山秀征の真骨頂だ。テレビという非日常において中山秀征は延々と、淡々と、そして極めて巧妙に、日常を創出し続けている。いわば中山秀征とは、テレビの中から、テレビの楽しみ方を視聴者に分かりやすく伝えるという、そういった存在だと言ってもいい。

 中山秀征が目指すものは、今あるものの破壊ではなく、繰り返される楽しい日常の創造である。イノベーションではない。だが、ウェルメイドなテレビの作法を中山秀征は守り、その枠組みを越えずに番組としての決まり事を呈示する。気が遠くなるようなその作業を、表情ひとつ変えずに続けられる人物はそうはいない。そして中山秀征とは、確かにそういった人物の一人であり、だからこそ中山秀征は、今でもなお“大物”としてテレビから求められ続けているのだ。

【検証結果】
 かつて、中山秀征が批判される時代があった。それはいわゆる「タレント」に対しての批判そのものであり、テレビ自体がイノベーションを求めていた時代の要請だともいえるだろう。だが、時はたつ。その頃を振り返って当事者たちが懐かしむほどに、それはもう昔の話になった。どちらが良いとか悪いとかではなく、あの頃はあの頃であり、今は今だ。驚くべきことに、中山秀征は当時と一切変わることがない。中山秀征だけが、あの日からずっとただ一人、中山秀征を続けている。
(文=相沢直)

●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは @aizawaaa

最終更新:2015/02/19 14:00
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