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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 中谷美紀の「顔」が見どころ?
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第83回

ゾクゾクするほど美しい……業の深さが浮き上がる『ゴーストライター』中谷美紀の2つの「顔」

goastw.jpg『ゴーストライター』フジテレビ

 「私たちは共犯者ね」と、カリスマ作家・遠野リサ(中谷美紀)はゴーストライターの川原由樹(水川あさみ)にささやく。

「望んでやっているわけではありません」

 この時はまだ「遠野リサの代わりはいないけど、川原由樹の代わりはいくらでもいる」という立場だ。

「なんで(電話に)出ないの? 締め切りは明日よ」

 次第に焦り始めるリサに、由樹が叫ぶ。

「だったら、先生が自分で書けばいいじゃないですか!」
「私たちは嘘をつき続けるしかないの」

 リサは、なだめるようにささやく。

「いつまで世間を騙し続けるんですか?」
「いくら欲しいの?」

と訊くリサを睨みつけて、由樹は即答する。

「10億!」

 そして、ついに由樹に土下座するリサ。

「お願いします……原稿を、ください」

 これはドラマ『ゴーストライター』(フジテレビ系)の第4話予告である。わずか30秒のこの映像で、2人の立場が天から地へ大逆転するさまが克明に描かれている。

 『ゴーストライター』はその名の通り、カリスマ的人気を誇る作家・遠野リサのゴーストライターを、若き才能あふれる作家志望のアシスタント・川原由樹が務めていくという物語である。このご時世にこのタイトル、明らかに佐村河内守氏と新垣隆氏の騒動に便乗した安易な企画じゃないか、と思わせる。しかも、ネット上の公式プロモーション企画では「あの新垣隆氏が語る『ゴーストライター』」などという動画まで配信されている。駄作のにおいがする。そう思わせる要素はいくつもあった。

 だが、その先入観は第1話ですぐに覆された。

 ドラマは土砂降りの中、2人が対峙するシーンから始まる。由樹を平手打ちするリサ。それに対し「私がいないと、なんにもできないくせに」と不敵に笑う由樹。つかみかかるリサ。「遠野リサはすべてを失った」と、リサのモノローグが挿入される。もみ合いながら、由樹に馬乗りになるリサ。「あなたに何が分かるのよ!」と激高し、由樹の顔面を叩き続ける。そして第1話の最後、同じシーンに戻る。今度は由樹がリサに馬乗りになる。そして吐き捨てるように言う。

「今日で遠野リサ先生のゴーストライターを辞めさせていただきます」

 リサは由樹を見上げながら言う。「クビよ」

 脚本は『僕の生きる道』、『僕と彼女と彼女の生きる道』『僕の歩く道』の「僕シリーズ3部作」などで知られる橋部敦子。こうしたセンセーショナルなシーンと併せて、それに至るプロセスを周到に描いていく。

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