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“オフィステル売春”、出会い系アプリ、障害者を隠れみのに……巧妙化する韓国売春組織の手口

4195001111193_z.jpgイメージ画像 Photo By Blemished Paradise from Flickr.

 2004年に「性売買特別法」が施行されて以降、国内業者への厳しい取り締まりが続いている韓国(記事参照)。数字だけ見ると、一定の効果があるように思えなくもない。ただ、いくつかの韓国メディアの報道によると、この数字は「法律施行の成果」では決してない。規制を逃れようとするより巧妙化した売春形態の増加に対して、捜査当局の対応が遅れている結果なのだという。


 例えば最近では、“オフィステル売春”が流行している。都市部には、オフィステル(オフィス+ホテル)と呼ばれるテナントビルがあちこちにあるが、これは昼は事務所、夜は住居としても使えるスタイルの賃貸物件。見た目は普通のマンションで、一つひとつの部屋に中小企業や個人事業主が事務所を構えている。夜になると、その一室が売春に利用されるのだが、「一人暮らしの女性の家に遊びに行く」というのがコンセプトらしい。売春斡旋業者はそのオフィステルにはおらず、やりとりはすべてウェブや電話。支払いは女性が客から直接受け取るため、最後まで彼らが姿を現すことはない。

 また、アプリを通じた売春も盛んになっている。韓国のランダムチャットや出会い系アプリでは、さまざまな売春情報が飛び交っている。その中のひとつに、“Jトーク”なる有名な出会い系メッセンジャーアプリがある。韓国捜査当局は、そのアプリに写真やメッセージを投稿している女性たちの大半が、売春斡旋業者に管理されているのではないかと疑っているという。捜査の目をかわすために、オンライン上で自然な出会いを装わせるというわけだ。

 伝統的な店舗型風俗店も、摘発を避けるために法や民心を巧みに利用し始めた。盲目のマッサージ師を雇い、正式に認可を得て、店舗経営することが増えているそうだ。彼らは通常のマッサージのみを行うそうだが、警察にとってみれば、この手の店舗を摘発するのは難しい。障害者が働いている事業所を摘発し店舗が閉鎖されると、障害者が職を失うことになるからだ。しかも、障害者本人や関連団体から激しい抗議を受けることになるので、捜査対象にすることをためらうケースもある。摘発を免れるための手口は、今後ますます複雑化するとみられる。

 「中央日報」には、性売買特別法について「法律の施行は一般社会では受け入れられたと思う。ただ、誰のための法律かはわかりません。現場で働く身としては、生計が苦しくなっただけです」という、ある30代売春婦のコメントが寄せられているが、やむを得ずに売春で生計を立てている者にとっては、いまや稼げる仕事ではなくなってきているのが現状だ。韓国・女性家族部の発表によると、売春せざるを得なかった女性たちへの自立支援金(政府支出)は、04年に約3億円だった。それから10年たった14年には、約13億円にまで膨れ上がっているという。また、女性をだまし、なし崩し的に売春に従事させる業者も増加傾向にある。

 施行から10年、性売買特別法は見直しを迫られる時期に来ているようだ。
(取材・文=河鐘基)
 

最終更新:2016/02/04 13:30
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