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『プロレタリア芸人』ソラシド本坊元児「ほんまに腹立つわ」が笑いに変わる瞬間

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――この本に書かれているような本坊さんの過酷な肉体労働エピソードは、ライブやテレビなどでも披露されて、そのたびに爆笑をさらっていました。この手の話がそこまでウケたのは、ご自分ではどうしてだと思っていますか?

本坊 これはもう他の芸人さんたちのおかげです。僕もともと、今もそうですけど、トークが下手くそで。イベントでトークコーナーとかあったときに、僕、わけわからんことをずっと言ってたり、言い方が下手だったりして。

 バイトの話も、面白い話だと思ってるわけじゃなくて、こんな体験をしてほんまにしんどかった、っていう感じでしゃべってるだけなんですよ。ほんまに腹立つわ、って。それを笑いに変えてくれたのは、そこの舞台に一緒に出ている千鳥とか次長課長さん。その人たちが笑うから、お客さんも笑ってくれるんです。

 僕は、自分の話で落とそうって、まったく思ってないですから。MCを張れる実力のある人は、おもろくない話でも絶対なんとかしてくれるんですよ。だから僕は、そういう話でスベったことがないんです。

――悲惨なエピソードで笑えるか笑えないかは、紙一重なところはありますよね。

本坊 そうなんですよ。そこでMCの人が「めっちゃかわいそうやなあ、しんどそうやなあ」って言ったら、たぶん笑えないですよ。「なんでそんなバイトをわざわざ選ぶねん」って言うてくれたら、笑える。だからほんまに周りの芸人さんたちのおかげなんです。

――ちなみに今も肉体労働のバイトをしているんですか?

本坊 いえ、ちょっと前に腰を悪くしたんです。病院に行ったら、坐骨神経痛だから肉体労働はやったらダメだと言われました。それで、本もできたし、ちょうどええわって。また下手にバイト行って、おもろい話できた、って言うてる場合ちゃうし。そういうのはこの本で最後にして、これからはソラシドの本坊として、また世に出ていけたらいいなと思っています。

――この本は、どういう人に読んでほしいですか?

本坊 肉体労働系の仕事をしている同業者ですね。職人さんとか、請負先の人とかにも。ああ、あるある、って思ってくれるかもしれないですし。

 あと、世代で言うと、僕と同じ30代くらいの人に一番読んでほしいかな。もっと若い世代へのメッセージも書いてますけど、若い人が読むと、ストレートに言葉を受けすぎて嫌になるかもしれないです。もちろんみんなに読んでほしいんですけど、夢を描いている時期にここまで現実を見ないでええんちゃう、って(笑)。

 今から芸人になるぞ! って思ってる若い子が、これ読んで、先輩芸人にこんなやつがおるっていうのを見たら、「なんやこれ!」「ひどいな、こいつ」ってなるかもしれないですし。たぶん一番共感してもらえるのは、現役で働いている30代ぐらいの人じゃないですかね。職種が違っても、共感はあると思いますよ。

 自殺したいとか思ってる人がこれを読んだら、こいつもつらい体験をしてるけど、それを笑いに変えてるな、って思ってくれるかもしれないですね。そうやって自暴自棄になりかけてる人にも読んでほしいです。今がどんなにつらくても、過ぎてから「あのときしんどかったわ」って言えたらおもろいで、って思います。
(取材・文=ラリー遠田/撮影=名鹿祥史)

●本坊元児(ほんぼう・がんじ)
1978年生まれ、愛媛県松山市出身のお笑い芸人。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2001年1月、水口靖一郎とコンビになり「ソラシド」を結成。ボケ担当、立ち位置は左。大阪NSC20期生。

最終更新:2015/02/05 21:00
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