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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『クレしん』映画、なぜ泣ける?
第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞記念インタビュー

『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』高橋渉監督が明かす、『クレしん』映画が泣けるワケ

main_largerobo.jpg(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2014

 僕が入社した当時、原さんって、夕方会社に来て新聞を読んで帰っていくみたいな印象でした(笑)。いい意味で監督っぽくないというか。「監督って呼ばないでほしい」とはよく言っていましたね。飄々としているようで、じっと深いところを見つめているような。水島さんは、とにかくスケジュールを大事にされる方。『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』で初めて水島さんの演出助手としてついたのですが、原画が積み重なっているのを見つけると「なんでこんなにためてるんだ、すぐチェックしろ」と。「スタッフを大事にするように」ともよく言われましたね。当時の僕は生意気だったので。

――生意気だったようには見えないです。

高橋 ゼロからものを生み出す過程も知らずに、「俺ならこうする」とか「ここは違うな」とか言ってたんですよね。できる前じゃなくできた後に。作る側としては、恥ずかしい態度でした。言葉遣いについても怒られました。制作って、みなさんに「原画をやってください」「動画をやってください」ってお願いして回るセクションですが、監督の仕事も本質は同じです。僕は絵もうまく描けないし、声もあてられない。お願いすることしかできないんですよね。あのままでは信頼もされず、演出にも監督にもなれなかったと思うので、叱ってくれた水島さんには本当に感謝しています。

――今後も、監督を続けていきたいと思いますか?

高橋 時々やれればいいなって思います(笑)。パワフルな映画は、欲望をためてからじゃないと作れないような気がして。テレビシリーズでも満足できるんですけど、やっていると「こういうことがやりたいな」って欲が湧いてくる。そういうものをふつふつとため込んで、映画で爆発できたらいいなって思います。

――映画の最後、ロボひろしの視点でしんちゃんを見ているカットがとても好きなんですが、アニメでは珍しい構図ですよね。あれはどんな欲望から生まれたんですか?

高橋 ロボットの主観視点は『ロボコップ』からですが。実はもうひとつ、ゲームからヒントを得たんですよ。プレイヤーの視点で進む『バイオショック』というアメリカ製のゲームがあるんですが、主観視点ならではの感動的な演出に胸を打たれました。今回の作品に生かせるのでは、と思って使わせてもらいました。ゲームは好きで、よく時間を潰すのですが、アニメの演出にもしっかり役立たせることを証明できました(笑)。

――最後に、あらためて、この作品を見る人たちに向けてメッセージをお願いします。

高橋 ケレン味たっぷりのエンタテインメントがやりたいという思いでこれを作りましたが、自分が本当に描きたかったのは家族の理想的な姿だったのかもしれないと、今になって思っています。野原家のような楽しい家庭がたくさん生まれれば、日本は平和になるんじゃないかなって思いますね。
(取材・文=大曲智子)

●『第18回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』
2015年2月4日(水)~2月15日(日)
会場:六本木 国立新美術館/シネマート六本木/スーパー・デラックス
料金:無料
主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会
※開館時間、休館日は会場によって異なります。

『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』上映日時
8(日)12:30-14:15
11(水)17:30-19:55(上映後トークイベントあり)
15(日)10:30-12:10
すべてシネマート六本木にて
http://:j-mediaarts.jp/

最終更新:2015/02/04 14:00
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